第2部 第32章
「何か見える?」
ギルは目を閉じてみた。
「岩みたいなもの。」
「それが大地だ。洪水で表面が全てそがれてしまった大地だよ。」
何もない、ただボコボコしているだけの岩がどこまでも続いている。
「土もない。みんな持っていかれてしまった。ここに種をまいても芽を出すことは出来ない。しかもこの大地は汚染されていて、生物が乗せられたら死んでしまう。」
大地の上で生物が死ぬ?
「猛毒の大地にまずバクテリアを蒔く。徐々に猛毒を分解していくと大地も空気もきれいになっていく。」
暗かった空が少しずつ明るくなっていく。
「火山灰で太陽光線が入らないと、何も育たない。空気がきれいになって日の光が差してきたら、次のバクテリアを蒔く、そうやって少しずつ大地を戻していく。」
明るく照らされた岩に苔のような緑色の物が付着してきた。
「彼らは死んで土を作る。その土に更に他のバクテリアを蒔いて、種を蒔くと植物が芽を出す。」
苔が、小さな草の芽に変わった。
「この植物達は、更に大地と空気の毒を分解する。」
何もない岩の大地に草が茂っていく。
「これがルシフェルのやることだ。ルシフェルはこうして地球を再生していく。」
「本当はルシファがそれをするはずだったの? こんなふうに痛んだ地球に光を、生命を与える役割を。」
「私には無理だよ。」
確かに途方もない仕事だ。しかも、この光を与える前には闇に落ちる状況を見なくてはいけない。
「でもルシファは地球じゃなくて、僕に光をくれたし、死んだような僕に生命を与えてくれた。レベルが違いすぎるけど、すごいことだよ。」
ルシファは笑って頭を撫でてくれた。
「他に何か面白いファイルがあるといいんだけどね。」
また画面を見て、文字の羅列を動かした。
「削除のホルダにファイルが入ってるんだ。なんで削除したのに残しておくんだろう? 見ようと思ってもパスワードがかかってて開けない。」
「パスワード?」
「いろいろ入れてみたんだけど、全部駄目。何かある?」




