第2部 第18章
アランのところから戻るとキャプテンからの報告書を見ることにした。
しかし、ギルには難しすぎてよくわからないので、懐かしい家のベッドでアランからもらったオオカミとシャーマンのライブラリを見ることにした。
お互い黙ってデータを見ていると、突然、音楽が鳴った。
「メール?」
キャッシーの時とは音楽が違う。
ルシファは動かない。音楽がずっと鳴っている。
「ルシファ?」
ルシファがやっと動いてボタンを押した。その指は震えている。
しばらく身じろぎもせずに画面を見つめていたルシファは、大きくため息をつくと椅子にもたれた。
「どうしたの?」
ルシファは額に手を当てた。
「父からだ。」
ギルはどうしてこんなに父のことになると避けたがるのかわからなかった。
「もう、目をそらしてる場合じゃないんだろうな。」
ルシファは立ち上がった。
「ギル、君にも来て欲しいそうだ。」
振り向いたルシファの顔は血の気がなかった。
「どこへ?」
「私が昔いた所。」
「ルシファが嫌な思いする所、ルシファ一人でなんか行かせないよ。」
ギルは明るくいったが、ルシファの血の気のひいた顔は悲しそうだった。
「約束して欲しいんだ。」
ルシファはしゃがんでギルを見上げた。
「私を嫌っても、見限ってもいい。でも、絶対に自分を見失わないで。それだけは約束してくれる?」
「どうして? どうしてそんなこというの?」
突然、何をいいだすのだろう?
どしてそんな悲しい顔をするの?
まるでもう二度と会えなくなるみたいに。
ルシファは両膝を地面につけて、ギルを抱きしめた。
顔が胸に当てられていて表情が見えない。肩に手を乗せると、その体が小刻みに震えていた。
「どういうことなの? ねえ、どういうこと!?」
ギルは叫んでルシファを揺すった。
「ごめん。あまり行きたくないんで、ちょっとナーバスになりすぎた。」
体を離すとうつむいて顔を見せないまま立ち上がった。
「そんなに嫌なの?」
「いい思い出のある場所じゃない。嫌なことしか考えられなくなってる。」




