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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第2部 第17章

 外の風は不安を少しで和らげようとしてくれているように、柔らかくそよいでいた。


「やっぱり外は気持ちがいいね。」


 ギルは大きく伸びをして爽やかな空気を思いっきり吸い込んだ。


「あっちにね、小さな川が流れてるわよ。」


 キャッシーが指差した。


「行きたい。」


 川に向かう二人のあとをゆっくりと付いていく。


「昨日のシャーマンの話は正直ショックだけど、ここまでデータが揃ってしまったら、否定のしようがない。」


 アランはまだ悔しそうにいった。


 ルシファは何もいわずに楽しそうに前を行く2人を見ている。


「本気で今後のことを考えないと。」


「私たちだけで考えてもどうにもならない。ヴィレッジの人たちに任せよう。」


「なんでそう逃げ腰なんだろうね。確かにヴィレッジの人たちと共同して何か対策をしなきゃいけない。シャーマンは言ってたじゃないか、困難は乗り越えられる者に降りかかるって。絶望的な未来の中、彼は精一杯俺たちを応援してくれたんだぜ。いい加減、目をそむけてる場合じゃないよルシファ。」


 ルシファの背中を押した。


「うわ、冷たい。」


 小さな小川に手をつけてギルが叫んだ。


「お魚もいるわよ。」


 キャッシーが指差す方を見ると小さいが大量の魚がみんな同じ向きで泳いでいた。


「みんなお行儀いいね。」


 視界の隅に何か動くものがあって、そちらを見ると、川の流れがよどんだ場所があった。ちょうどポケットのようにその場所だけ川の流れから取り残されてゆっくりと渦をまいている。そこに木の葉が浮いていた。水の渦にのって、くるくると回っている。そして、その上にアリが右往左往していた。


 木の葉は川べりの草や石にぶつかると弾き返され、また水面の渦にまわり、川べりに近づき、弾き返されを繰り返していた。


 ギルは木の葉を掴むと地面においた。右往左往していたアリはやっと地面を見つけて走っていった。


 その様子を見ていてルシファは何かが頭を過ぎったが、あまりにスッと消えてしまったのでよくわからなかった。


「あのアリ、どこからきたんだろう? 随分流されちゃってたから、仲間の所にかえれないよね?」


「きっとあのアリはこの辺のアリに仲間にいれてもらって、新しい生活をおくるわ。」


 アリが走っていった方を見つめながらキャッシーがいった。


「あのアリにとったらギルは救世主ね。」


 なぜかルシファは鼓動が早くなった。




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