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石の記憶  作者: 弥生 飛鳥
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第2部 第16章

 シャワーを浴びると、胸の焼印が気になった。鏡を見ようにも、雲ってしまって見えない。体を拭くとズボンだけはいて、部屋の姿見の所に行った。


 胸の焼印はかなりぼやけ、はっきりしていないが、2匹のヘビが絡み合っているようだ。


「少しは筋肉の付いた体に見ほれてるの?」


 ベッドに入ったままのルシファがいった。


「どっちが創造のヘビかなと思って。」


 ルシファは体を起こした。


「君は本当に両極を持っているね。創造と破壊。ナチュラルとジーンリッチ。母からは呪いを、父からは祈りを。相容れない両極を持っているっていうのは辛いことだ。でも、おそらく意味があるんだろうね。相容れないものの橋渡し。そんな役目をスピリットは君に選んだ。」


 独り言のようにいった。


「ルシファもきっと大変な役目があるんだろうね。」


「私の役目? 男でも女でもない私に役割があるとしたら、せいぜいアランとキャッシーの痴話げんかの仲裁ぐらいじゃないの?」


 ベッドから立ち上がった。


 茶化されてギルはちょっとムッとした。


「違うよ。天使と悪魔の両極の橋渡しだ。」


 昨日見た、自ら翼を引きちぎるルシファが思い出された。


「私は天使にはなれないよ。」


 うつむいて呟いた。


「さて、オオカミに現を抜かしてるアランとそれに腹を立ててるキャッシーに会いに行くか。」




 アランは既にキャプテンからの報告書を読んでいた。


「キャプテンの報告書も、シャーマンのいっていたことの裏づけだったよ。」


 口惜しいように吐き捨てるようにいった。


「今の状況は、以前、地球の大陸の大変動があった時と似たような状況らしい。」


「大陸の変動なんて、・・・一体いつ、そんな大きな変動がくるのかしら?」


「秋だ。冬に近い秋。」


 ギルが突然、口を開いた。


「どうして秋だと思うの?」


「地球は被害を最小限にしたがってる。草や木が種をつけて、種のまま変動を乗り切れるようにしたいはずだ。でも、地球が耐え切れなければ早まると思うけど。」


「秋だとしても100年後の秋にして欲しいね。」


 誰も何も言えずにしばらく沈黙が続いた。


「外に出ましょう。ここにいても煮詰まるだけだわ。」


 キャッシーが立ち上がった。



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