第2部 第12章
「ありがとうございました。ホーク・ウィスパラー。あなたの話はよくわかりました。」
ルシファが沈黙を破った。
「お時間を取って申し訳ありませんが、今度は私の話を聞いていただけますか?」
シャーマンのように無感情な声でルシファはいった。焚き火に照らされたオレンジ色の髪が炎のように彼の顔を包んでいた。
「昨日の夜。夢の中に黒いオオカミが現われて、君たちが来ること、君たちが聞きたがっていることを教えてくれた。そして、君たちが私が聞くべき話を持ってくることも。」
ギルは立ち上がるとピティを出た。
外の岩に腰を下ろすと、近くの岩にアランとキャッシーも腰を下ろした。
何もいわない。これから父と話すギルが頭の整理をつける邪魔はしないが、近くにいる、見守っているといってくれてるようでうれしかった。
二人の優しさに甘えて今は一人で考えたかった。
父と話がしたいのは本当だが、一体何を話せばいいのだろう? 母の記憶の中で父の顔は知っていたが、「父」という存在を考えたことがなかった。今更何を話せばいいのだろう? でもこのまま何もいわないで帰るのは後で後悔しそうだった。
満点の星空を仰ぎながらいろいろなことが頭を過ぎるが、どれもただ流れていくだけだった。
突然、肩に何かが触れて我に返った。
「寒くなってきたわよ。」
キャッシーが車から持ってきた毛布をかけてくれた。
「ありがとう。ごめんね、僕のために。キャッシーも寒いでしょ?」
「私も毛布持ってきたから大丈夫よ。」
それだけいうとまた一人っきりにしてくれた。
もう、何か言葉をさがすのに疲れてただ星を眺めていた。
「ギル。おいで。」
ピティの入り口にルシファが立っていた。焚き火のオレンジ色の光に縁取られて明るく輝いていた。




