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兄ちゃんは異世界人? 突然「強くなってくれないか?」ってお願いされた!  作者: 茶さくら
幼少編

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身体強化 (ザックSIDE)

 生後半年で、魔力循環を廻しまくってた僕だけど、だんだんと飽きてきて、今度は肉体の方にも手をだした。




 前世の記憶で身体の使い方はわかるから、ハイハイ出来るようになると、素早く掴まり立ちに移行、八か月目ぐらいには、ゆっくりながら歩けるようになった。


 骨が柔らかいと思うから、無理はしない程度だけどね。




 その頃から、言葉を話し出して、初めは家族を「とう」とか「かあ」とか「ねぇ」「にぃ」と拙さを演出する努力をしたんだけどね、早々に面倒になって、1歳すぎた辺りからは普通に話して、家族を驚かせてしまったよ!




 でも僕の立場になって考えてよ異世界先輩諸兄!




 僕のたしなみ程度の異世界知識だと、赤ん坊転生は、神様のお告げがあるとか、ステータス画面があるとか、そんなのなくても、お貴族様の元に生まれて、歩ける様になったら書庫で本を読みあさるとか、平民でも、両親共かどちらかが元凄腕冒険者で、母が魔法を教えるとか、父が「よしザック、明日から剣の稽古だ!」なんて言ったりするやつだよ。




 そんなの全くないんだもん!




 魔力らしきものをガンガン廻しても魔法発動しないし、情報収集に焦る気持ちも少しは理解出来るでしょ先輩諸兄?




 幼児言葉なんて悠長にやってられないよ。


 さっさと会話に移行して「あれ、なあに?」とか「それ、なんで?」とか聞きまくる情報収集に移行したよ。




 そんな家族を驚かせてまで収集しても、わかったのは、ザ・農家って事ぐらいだった。本なんてないし、魔導ランプとか魔導コンロとかも見当たらず、魔法陣・触媒なんてものも全く見当たらない中で、唯一気づきを得たのがぼっとん便所のスライムくんだったわけ。




 ちなみにスライムは先輩方の言う通り、最弱の魔物みたいで、汚物を溶かして吸収してくれる。


 近くの沼に普通にいるらしいし魔核が弱点どころかちょっと強く棒で殴る程度で死ぬんだって。


 一応魔石もあるけど砂粒程度で寿命も半年から1年で普通に死ぬらしい。     最弱にも程があるだろ。寿命半年って虫なの?




 そんな訳で、早々に家の中での情報収集の限界を感じて、外へ出ての情報収集に移行したかったけど、流石に1歳での外歩きは許しが出なかった。




 そこだけは異世界物語に似なくていいんだけど、優しく元気なデジーねえさんに、かわいがられるという監視を受けたよ。




 せめて、お人形とかあったり、お花屋さんごっことかだったら、暇だし幾らでも付き合ったんだけど、何せ文化レベルが低いから、そんな物も知識もなくて、


「ザックはいいこねー」とか「かわいいねぇ」とか、ほぼ内容のない会話を3時間とかするんだから、耐えられなくてね。眠いふりして、やっと手に入れた魔力消費の[身体強化]で魔力枯渇して気絶するようにしてた。


 異様に寝る子だと、また少し家族を心配させてしまったよ、、、




 そう!1歳になる少し前に、先輩方のおすすめする、魔力量増加の方法に辿り着いたのです!




 ぐるぐる魔力循環の達人になって数か月。


 進展のない事に少々飽き飽きしてた僕が、指先やらなんやらから出そうとしてても無理だった魔力が、だったら身体全体から出してしまえ!って、逆ギレ気味に、全体に押し出したら、じわーっと全身から出ちゃったのよ。


 そして、「んん?おお?」って驚いてたら気絶した。


 初めての魔力枯渇を経験したって訳。




 僕やったりましたよ異世界先輩諸兄!!!正しい教えありがとうございます。





 そんな経緯で、1歳を早々に情報収集の諦めと、デジー姉さんの監視を短時間で回避する為の昼・夜の2回魔力枯渇っていう荒業で過ごしていった。





 そして、2歳を迎えしばらくして、僕の最愛の弟「ノルン」が誕生した。




 本当にかわいくてねぇ。天使の様とはまさにとばかりに感じたよ。


 ちっちゃいお手々で指をキュっと掴まれた時なんか、大人の思考を持ってる僕でも「キュンッ!」てしちゃって、もうメロメロよ!




 前世は子供もいなかったし、兄弟も兄だけだったから、弟がこんなに可愛く感じるなんて、自分でもびっくりで、初めて味わった深い感情だった。




 たいして裕福でもないのに、無計画に子供を作る両親にも、面倒になって魔力枯渇で逃げてた姉や兄にも、感謝の気持ちや、僕に愛情を与えててくれたんだって改めて気づかされた。




 同時に、魔力枯渇で魔力量だけは増えているけど、それ以外は特に進展のないマンネリ気味の自分にも、「このままじゃだめだ」とシンジ君ばりにメラメラと闘志が沸いてきて、強くなって何があってもお兄ちゃんとしてこの子を守るんだ!もっともっと頑張るんだ!って誓えたんだ。


 ノルンがいなかったら、今の僕ではないと思う。





 早速張り切って、衛生管理の「えいせい」さえも、激弱のスライムに任せてるような家族は信用できんと、「ノルンをさわるなら手を洗え!」とか、「帰ったらうがいをしろ!」とか、「土埃や汚れを家に入る前に落とせ!」とか、ノルンが生まれるまでは末っ子だったのに、鬼軍曹のごとく、有無を言わせずに指示を出し、聞かなければ、やるまで泣きわめき強制し




「こんなに可愛いノルンが病気になったらどうするんだ!」




 と、家族の困惑も無視して、貴重な布を雑巾に変化させて、ノルンの周辺を水拭きしまくり、数少ない文明の利器の枝ぼうきを使って、徹底的に掃除し(もちろん掃除の時はノルンは避難させて)窓を開けてほこりも土も砂も排除した。




 流石に母さんの授乳の時に、おっぱい周りまで水ぶきしようとしたら、ふくよか温和な母さんに、しこたま怒られてしまったよ。




 家族は、驚きとあきれと困惑と、様々な感情で、まだ2歳のはずの僕がおかしくなったのかもしれないと、ご近所に相談までしたそうだが、後悔は一切していない。





 たぶん、この時の水仕事や土や砂の掃除などの事が、僕に水魔法系と土魔法系のスキルを授けたんだと今では思う。




 ノルンが3歳の時に5歳の僕が足を失い、その苦しみを助けたいとの思いで聖魔法系のスキルを授かった様に。




 きっと、魔法系のスキルを授かるには、誰かの為に力になりたいという強い強い思いと、その時の行動が関連してるんだと思う。




 だから、魔法系のスキルを得る人が極端に少ないのではないだろうか。




 だって、5歳以下の情緒もはっきり育ってない幼い心で、誰かの事を思う事はあっても、本当に強く強く願う事なんて、めったにないだろうから。




 そんな強い強い願いと、それに伴う行動が、人間の生物学的進化をほどこし[授能]に影響を与えるんじゃないかと、転生者らしくダーウィン先生の進化論的な考察をした。




 ノルンは僕の人生の道しるべだ!

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