コプトル村 (ザックSIDE)
かわいさMAXのノルンのお世話を付きっ切りで喜んでこなしてた僕だけど。
日本人の衛生観念で、おむつの洗濯も、なんか母さんより僕がやった方が綺麗に清潔に出来ると、貴重な薪を使って煮沸消毒をやろうとしてたのが見つかっちゃって、
「いい加減にしなさい! ザック、あなたもまだ幼い子供なのよ。
ノルンのお世話は、母さんやデジーに任せて遊んでなさい!」
と、2歳の子供が薪に火をつけようとしてる事に、煮沸消毒の事を言っても、勿論理解は得られず、母さんどころか父さんまで激おこでね。
その前の衛生管理運動の寄行もあって、僕がノルンにかかわると、面倒ばかりだから外で遊んでろ!って事になった。
納得はいかない気もしたが、まぁ21世紀の日本の衛生観念を伝えられても伝わらないのは仕方ないのかもしれない。
何せ風呂とかもないからね。
てか温暖な地域をいい事に、お湯も使わずに基本は水浴びか汗拭き程度だからね。
お風呂大好き日本人って訳でもないんだけど、お湯拭きぐらいはしたいよね。
だって、異世界先輩諸兄は、異様にお風呂にこだわる人が多いじゃん!
お湯ぐらいでいいって言ってる僕は、偉いと思うけどなぁ。
まあそんなこんなで、1歳の時にデジー姉さんの監視で出れなかった、外に2歳半にして出れるようになった(追い出されたとも言う)
なので、1歳の時に出来なかった村での情報収集の為に、ポテポテと歩きながら散策したよ。
何度か一人歩きしてる2歳児を見て、親切な村人が
「すわ迷子か!家に送らねば!」
ってな共同体的親切心で何度か家に戻されたけど、戻しても戻してもポテポテと外出し「おさんぽだよ」と何度か繰り返せば、あれがザルマン家の変わりものかと、衛生活動の時の両親のご近所相談が、変な方向で作用して、生暖かく見守る程度に見逃されるようになった。
にこにこ笑顔で「こんにちはー」と声をかけ、「あれ、なぁに?」「なんで?」「どこなの?」と、社会人で鍛えられた5W1Hを駆使して情報収集の毎日をすごした。
いやぁ、村広いわ!
50世帯ぐらいしかないんだけど、全く密集なんてしてないんだもん。隣の家でも充分離れてるからね。
ゲームみたいに、村長さんの家があって前に広場があるのは同じだけど、広場の周りに家々がとかポツポツ程度しかないんだよ。
そりゃそうだよね。ここ開拓村らしいもの。
家の近くに畑耕してたら当然、家々は離れるわ。
本当に、話を聞いてるより、歩く時間の方がかかるかかる。
だって2歳だもの。
ぽちぽち歩きだもの、身体強化使えば速くなるかもしれないけど、また騒ぎになるし間違えたら魔力枯渇で倒れるからね。
ノルンに貰った、やる気ゲージで、足腰トレーニングと割り切って、毎日毎日、少しずつ制覇したよ。
結論、ほとんど農家で知識人もいないし、商人も冒険者も専業職人なんかも村にはいないって事。
ねえ、ご都合主義成分が不足してるんですけど、ウィキペディアおじさんとかいてもいいんだよ。
まぁ村長さんが知識人かもしれないけど、2歳児の相手はあんまりしてくれなかったよ。
そんななかでも、専業農家ではない、兼業農家の木工のおじさんや、狩人のおじさん、樵兼炭焼きのおじさん、産婆兼薬師もどきのおばさんと知己を得る事が出来た。
この辺りの方々とは、笑顔多めのかわいさ全面アピールで、継続してコミュニケーションしていくつもり。
重点的に聞いていた魔法や魔獣についても、少しは知識が得れた。
幸いな事に、この周辺は魔獣が少ない地域らしい。
後に僕の食糧となるホーンラビットが近所の小川の向こうの草原にいるぐらいで、めったに出ないが、山にグレイウルフという狼の魔獣と、さらに少ない頻度でボアという猪の魔獣ぐらいらしい。
その山の魔獣も、狩りとゆうより寄り付かない様に狩人の2人が見守っていて、狩るより追い払うイメージで罠などを仕掛けてるんだって。
ゴブリン集落とかの定番のやつがいなくて一安心。
激弱のスライムちゃんは、魔獣認定さえされてなかった。
魔法については、ほとんどの人が認識だけはしてたけど、使えたり、見たことのある人はほとんどおらず、唯一村で使えるおじさんの情報を得て、大興奮で訪ねて、お話をねだり!
「おねがーい、みせてぇ、みせてぇ」と涙がこぼれそうなウルウルお目々で何度もお願いした所、人生初の魔法をこの目で見る事が出来た!
後に僕が授かる、土魔法系の[土くれ]で、いくよ!っと気合えを入れたおじさんの右手の手のひらに、手のひらより少し小さな土くれが、もこもこっと生成された!
始めは、初めてみる魔法に大興奮で、「きゃー!異世界キター!!!」と、きゃっきゃしてたのが、冷静に考えると、これ何に使えるの?となり
「すごーい!この土なんに使えるの?他のもあるの?」
と素直に聞いてみるも
「うん、これだけだよ。おじさんが使える魔法はこれだけ、この土も別に特別な使い道なんかはないよ」
と、身も蓋もないような事をぬかしよる。
異世界先輩諸兄も思ったよね?僕もそりゃぁ同じ様に思ったよ「しょぼ」って。
おじさん嘘だと言ってよ!
冗談だって笑いかけてよ!
おっさんうぜーなって僕に思わせてよ!って願ったけど現実だった。
おじさんいわく、まともに役立つ魔法を発動出来る人なんてほとんどいないとの事。
その説明の中で、[授能]の日当日か、それ以降しかスキルが得られない事、[スキル]は成長するが[位階]というものを上げるには魔力量が大きく増さなければならず、なかなか難しいとの事を知る。
まれに才能がある人の努力が実を結び位階Ⅱ(達人級)や、さらに天才と言われる人が位階Ⅲ(偉人級)まで辿りつく人がいて、そういう人の使う魔法は、僕のイメージする様な魔法だと言う。
元々[授能]で魔法系スキルを授かる人は稀で、さらに位階を上げれる人は少ないから、本当の魔法使いは、奇跡の人達なんだって。
「おじさんも、5歳の[授能]で授かった時は、大興奮してね。
これで俺も大魔法使いだ!ってそれなりに努力したんだよ。でも結局、スキルの成長も位階を上げる事もできなかったよ。
夢を壊すみたいでごめんね。」
寂しそうに、僕に申し訳なさそうに言った。
その日は、なんか打ちひしがれた様な感じで、足取り重く帰宅した事を今でもはっきり覚えている。




