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兄ちゃんは異世界人? 突然「強くなってくれないか?」ってお願いされた!  作者: 茶さくら
幼少編

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[癒し]のスキル


「ノル、強くなってくれないか?」




 大好きなにっちゃが、初めて僕にお願いをした。


 いつも優しく微笑んでいるにっちゃの真剣な目を見て、僕はなんだかドキドキした。




「にっちゃ、ちゅよくって何?僕、よくわかんないけど、にっちゃが嬉しいならがんばりゅ!」




 両のお手々を一杯にぎって、フンス、フンスとにっちゃを見つめる。




「ノル、ありがとう。本当にノルが弟で良かった。そうだよね。よくわかんないよね。


 明日、お手伝いの後にゆっり話そう。今日は疲れたでしょ。ゆっくりおやすみ」




「うん、おやちゅみ」


 ドキドキして、おねむが少し覚めちゃったんだけど、、、。




「ああそれと、今のお話と、明日するお話は、しばらく家族にも内緒にして欲しいんだ。


 いつかは話すと思うけど、母さんや姉さん達が心配するからね。しばらくは僕とノルの2人だけの秘密。


 ノル内緒に出来る?」




「僕できりゅ。かあちゃにもねえちゃにも言わない。にっちゃと僕だけ、ひみちゅ、ないちょ」




「ありかとう。ノル、おやすみ」


「にっちゃ、おやちゅみ」




 ドキドキはまだあったけど、昼間の疲れですぐに夢の中へ入った。




 =========================




 村の朝は、日の出の少し前から動き出す。


 薄暗い内にアンが窯に火を入れて、麦がゆと野菜を煮る。


 ザルマン家のいつもの朝。




 ザックは水魔法のスキルがあり、アンの次に起きて水甕の補充をする。


 通常は、つるべ式の井戸から、桶に汲み、えっちらほっちら運ぶ重労働なので、ご近所からも羨ましがられてる。


 (にっちゃは凄いの!)




 デジーが起きてアンの手伝いしてると、ぼとぼちと皆が起きてきて朝食。




「父さん、お手伝いの後にノルの[癒し]がどんなスキルか試して確認しておこうと思うんだけど。


 村の皆にも見つからないようにしないといけないから、河原の方でやりたいんだけど、いいかな?」




「そうだな、魔法系の事ならザックが一番わかるだろうしな。


 ノルンもお前なら安心だろう。無茶はするなよ」




「ザック、あんまり遠くへ行っちゃダメよ。危ない事はしないでね」




「母さん、今の僕じゃ、そんなに遠くへは行けないよ。ノルも一緒なんだから、危ない事も絶対しないよ」




「ノルンも気をつけるのよ」


「かあちゃ、にっちゃも一緒だから大丈夫!」




 朝食後は、アンとデジーは、お洗濯やお掃除・縫物などの家事。


 ロジャーと男の子達は畑のお世話とお手伝いに行く。


 


 冬小麦の種まきを待つ畑は、耕され濃い土の色を見せている。


 10歳になると本格的にお手伝いが始まるが、まだ幼いノルンとザックは、雑草や石ころ取りとか、害虫取りの簡単なお手伝い。


 ザックとノルンは、手早くお手伝いを済ませ、村外れの河原に向かった。




 村外れのザルマン家から、しばらく西に向かうと、川幅10mぐらいの緩やかな流れの渓流にあたる。


 昔は今より水量があったのか、大小の石が転がった、それなりに広い河原が川沿い広がっている。




 河原の岩影から、ザックが何かの包を取り出した。




「ほら、本当は昨日、兎4羽捕れたんだ。3羽で充分だったからね、おやつに1羽取っておいたんだ。


 後で焼いて一緒に食べよう」




 葉っぱに包まれた兎のモモ肉だった!うれぴー!


 村では基本的に朝・晩の2食でお昼はないからね。




 ザックは、焚火場を素早く作って、枯れ木を置き、火打ち石で火を点け、木串に刺したモモ肉を火の近くに刺した。


(にっちゃは何でも出来て凄いんだ!)




「さて、しばらくはかかるから、まずはノルの[癒し]を試して貰おうかな。僕の足にお願い出来る?」




 ザックは【義足】を外して、膝下の肌が少し赤くなってる部分をノルンに向けた。




 ザックは、左足の膝の少し下から先を失っており、普段はザックが自分で作った木製の【義足】を革のベルトで固定している。




 さらに自分で作った、左脇の下に挟み左手で持つ歩行用の杖を使い器用に歩く。


(まつばづえって言うんだって)




 2年前の[授能]の日の少し後、魔獣に襲われて角で刺されたらしい。


 止血はしたのだが、感染症によってし壊疽えそを起こしてしまい、壊疽の広がりは命に係わると、ザック自らが決断し、村の樵に頼み膝下から切断した。




 (僕はあんまり覚えてはないんだけど、ねえちゃが泣き叫んで、大好きなにっちゃが苦しそうにしてたのが凄く怖くて。


 わんわん何度も泣いたのは、なんとなく覚えてるし、今でも少し思い出すと、また怖くてドキドキして泣きそうになっちゃう)




 それでもしばらくは経つと、ザックは、


「大丈夫、道具を作れば歩ける様になるから」と言い


 村の木工と狩人から、木材と皮を取り寄せて、義足と杖を自分で作ってみせた。




 (りはびり?とか言って、しばらくは家の中をゆっくり歩く練習をしてたけど、今では村の中や近場なら、普通に歩いて移動してるんだ。




 流石に走ったり重い荷物を持ったりは出来ないみたいだけど。 


 本当に、にっちゃは、強くてかっこいい!)




 ザックの膝下に両手を伸ばし[癒し]をかける




「うにゅー、痛いのなおれー、うにゅー」




 赤くなってる所に両手を当てて、必死に祈る。




 すると暖かい光が両手から出て、ほわほわと赤い膝下部分を包んだ。


 (3秒ぐらいの間だったけど、なんだかすごく疲れちゃって、ヘロヘロしちゃう)




「うわぁ、なんだかとっても暖かくて優しい感じなんだね。


 ノルって感じがするよ。ありがとう。ひりひりしてたのが治まったよ。


 ノル、疲れたみたいだね。大丈夫?」 




 ザックは、いつもの優しい微笑みを向け、ノルンを心配する。




「大丈夫。にっちゃ、僕にっちゃの足治せる?」




「ノルは優しい子だね。ありがとう。これだけでも本当に凄いんだよ。


 ノルは本当に優しくて凄いんだよ。


 僕は本当にノルが弟でいてくれて良かったって思ってるよ。


 だからノルのスキルを誇って欲しいんだ。


 神様がくれたノルの宝物なんだよ。


 だけどね、なくなった足や手なんかの事を欠損って言うんだけどね。


 大きな街の偉い神官様でも治せないんだって。




 父さんや母さん、村長さんまで、色々と聞いてくれたらしいんだけど、難しいだろうって。


 でも僕は幸運なんだよ。


 ノルが優しくて暖かい光で僕の傷口を包んでくれるんだから。


 こんな事ノル以外には誰もしてくれないと思うよ」




(にっちゃの足は治せないのかあ、、、凄い神官様でもダメなのかぁ。


 残念だけど、それでも優しいにっちゃの言葉で、僕は泣きそうになっちゃった)




「それで、疲れたみたいだけど大丈夫かな?


 今と同じ事、あと何回ぐらい出来そうかわかるかな?」




「大丈夫、ちょっと疲れちゃっただけ、たぶん後2回くらい出来りゅと思う」




「そっか、うん、じゃあノルの[癒し]は今の所3回ぐらい出来るって事だね。


 それを、魔力消費とか魔力残量とか言うんだけど、魔力総量や位階が上がればまた変わって来るんだよ。


 まぁ難しい話はおいおい教えていくからね」 





「昨日の夜のお願いの話をしようか」

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