「強くなってくれないか?」
初めての小説投稿です。拙い文章だと思いますが暖かくお見守り頂けると嬉しいです。
兄弟愛と成長と冒険の物語です。よろしくお願いします。
「強くなってくれないか?」
にっちゃは真剣な目で僕を見つめて言った。
この世界では、5歳になる年の秋。
収穫祭のイベントで[授能]の祈りが行われる。
大々的なイベントではない。
村の広場で収穫祭の終盤、演台に村長が30cmほどの創造神の小さな像を持って来て始まる。
今年5歳になった子達が、その像に向かって感謝の言葉を述べてお祈りする簡単な儀式。
(だけど僕の人生初のイベントだから、練習したけどすごくドキドキ!)
「創造神様、無事に5歳を迎える事が出来ました。感謝いたします。
願わくばこの命に御祝福を!」
ノルンを入れて3人の5歳を迎えた子達が、並んで目を瞑り手を合わせ、お祈りをする。
しばらくじっとしていると、お腹と頭の辺りが、ぽかぽかと暖かくなり、やがてスーっと温もりが消えていった。
ノルンにも神様が[能力]を授けてくれたのがわかった。
(なんとなく得た[能力]と、その使い方もわかるなんて不思議だね。
ありがとうございます創造新様!)
ノルンは心の中で感謝を伝えた。
(一緒に[授能]を受けてた子達も、無事に[能力]を得たみたい。
僕と同じく不思議そうな顔をしてるね。わかる、わかるよ不思議だよね)
「無事に授かったようだな、おめでとう。初めての[能力]は、家族だけに伝えるようにな。
くれぐれもはしゃいで、言いふらかしたり、しないように」
「改めておめでとう!今後の人生が健やかなものでありますように。
では下がりなさい」
村長に指示され、ノルンは村の人達の暖かい拍手に祝われながら、家族の元へ向かった。
「ノルンおめでとう、良かったな」
「お家でお祝いしなきゃね、今日はノルンの好きな兎の煮込みよ」
祈りを見守ってくれていた両親が祝いの言葉を贈る。
フフフ、ノルンもニコパ!
「とおちゃ、かあちゃ、ありがと!」
「「「ノル、おめでとう」」」
「ねえちゃ、ケビにい、にっちゃ、ありがと!」
姉と2人の兄にも祝いの言葉を貰い、暖かな家族6人で、村はずれへの家路を、にこにこしながら帰った。
今日は御馳走だあ!!
ノルンは、村の農家ザルマン家の末っ子。
父ロジャー、母アン、5つ上の双子の長女デジー、長男ケビン、2つ上の次男ザックとノルンの、6人家族。
皆とっても仲良し家族なの!
とおちゃ(ロジャー)は、どっしり骨太な力持ちでとっても頼りになるし、かあちゃ(アン)は、ふくよかで、優しくて料理はとっても美味しいの!
ねえちゃ(デジー)は、いつも元気で、小さい時は沢山抱っこしてくれたし、ケビにい(ケビン)は、もう一人のとおちゃみたいに守ってくれるんだ。
みんな大好きだけど、やっぱり一番歳の近いにっちゃ(ザック)は特別なの!
小さい時からいつも僕と一緒に遊んでくれたり、すこしどんくさい僕をニコニコ見守ってくれるの。
それからとっても頭が良くて、色んな事を知ってたり、思いついたりするんだ!
今日の御馳走の兎も、にっちゃが僕の為に捕ってきてくれたんだよ!
うれしい!大好き!!
テーブルには、いつもより沢山の料理が並んで、祝いの気配を振りまいている。
「ではノルンが無事に5歳の[授能]を迎えられた事をお祝いしよう」
「創造新様、感謝します。
ノルンおめでとう!」
「「「「ノルン(ノル)おめでとう」」」」
「みんな、ありがと!」
「「「「「いただきます」」」」」
ロジャーの祝いの言葉に家族が続き、ささやかな宴が始まる。
いつもは、パンとお野菜と、たま~に、ザックが狩ってくれる兎のお肉が少しだけど、今日は丸々兎3羽分も、もも肉が入った煮込みのおごちそう!
お肉天国なのだ!
「うわぁ!おいちい!やわやわ!」
たっぷりのお肉と、お野菜の旨味が、お口一杯に広がるよ。しあわせー!!
「母さん本当に美味しいわ!
ザックこんなに沢山捕ってきて、危ない事してないわよね?」
「姉さん大丈夫だよ。
ノルのお祝いに、いつもより多めに罠を仕掛けてただけだから、危ない事なんてしてないよ」
「ねえちゃんも心配しすぎだよ!
ザックは頭がいいんだから、同じ失敗なんてしないさ。
だよなザック? で結局ノル、どんなスキルを授かったんだ?」
もぐもぐノルンを家族のみんなが見つめている。僕照れちゃう。
「うん![癒し]の能力をもらったよ!」
「ほう、聖魔法の一種かもしれんな、どんなスキルなんだ?」
「うんとね、少し疲れたり、頭が痛かったり、小さな傷とか打ち身とかを癒すみたい」
「へぇ、凄いじゃないノル!
都会の神官様みたいにはいかなけど、この村なら十分なスキルよ!」
「もう!デジーったら。
ノルンは優しい子で、いつもザックの傷を診てくれてたから、きっと神様が授けてくれたのね。ノルン素敵よ。」
フフフのフ!みんなの目が優しい。
「そうだな。だけどこんな教会もない村じゃあ、ノルンに変な期待されても困るし、魔法系の[能力]は良くわからないからな。
しばらくは村のみんなには言わない方がいいかもな」
「父さん、そうだね。
ノルのスキルがしっかり理解出来るまでは内緒の方がいいと思う。
魔法系スキルは珍しいし。
この村じゃ誰も成長のさせ方なんてわからないしね。
ノル、村のみんなには内緒だよ。出来る?」
「うん!とうちゃ、にっちゃ、僕出来る!
みんなには内緒、出来る、ひみちゅ」
「「「ノルン(ノル)は偉いねぇ」」」
フフフ!僕もたまには出来る子なのだ!
その後、たくさんたくさん御馳走を食べて、みんなと一杯笑って、とってもとっても幸せぽかぽかだったよ。
今日は朝からイベントでドキドキしたし、お祝いで一杯笑ったから疲れておねむなの。
にっちゃがお部屋につれてってくれたよ。
ノルンとザックのお部屋は、屋根裏のお部屋。 秘密基地みたいで好き。
一階にとうちゃとかあちゃ、双子のねえちゃとケビにいのお部屋が1部屋ずつ。
僕とにっちゃは屋根裏のお部屋で一緒に寝るの。
いつも僕が寝るまで、色んなお話をしてくれるの。
とっても楽しいんだよ!にっちゃのお話大好き!
今日はどんなお話かな?ってワクワクしてたら、ベッドに一緒にすわって、いつもニコニコのにっちゃが、僕を真剣な目で見つめてくるの。
「ノル大事なお願いがあるんだけど、兄ちゃんのお願い聞いてくれる?」
え!?にっちゃが僕にお願い?
そんな事初めて!僕はりきっちゃう!
「にっちゃ、にっちゃのお願いな~に? 僕、がんばりゅ」
ザックは、しばらくじっとノルンを見つめて、口を開こうとしたり、天井を見つめて少し悲しそうな顔をしてから、ノルンに言った。
「ノル、強くなってくれないか?」
お読み頂きありがとう。ございました。
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