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兄ちゃんは異世界人? 突然「強くなってくれないか?」ってお願いされた!  作者: 茶さくら
幼少編

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14/15

落ち着いた日々 (ザックSIDE)

 ホーンラビットで挫折して、自分を追い込める気が全くおきなかった。


 前世で一般人だった僕は、強靭な精神を持っている訳ではないから。




 しばらくは家族との時間を大切に過ごしていった。




 ノルンと庭を散歩したり、兄さんや姉さんと、かくれんぼや鬼ごっこの様な遊びをしたり、初めて近所の子供と遊んだりもした。




 これぐらいはいいだろうと、地面に書いた〇☓取り(三目並べ)や、砂山棒倒しを教え、兄さん、姉さんを含めて子供達に人気を得た。


 僕も童心に帰り、それなりに楽しめたと思う。




 またケビン兄さんは6歳になり、父さんの畑を手伝い始めていたので、僕も少し手伝いをしたりもした。


 雑草取りや小石取りをしながら、父さん・兄さんとも沢山話した。





 ケビン兄さんの得た能力は[頑強]で、いわゆる当たりスキルらしい。


 力が強くなる訳ではないが、身体が強く、病気・ケガになりなくく、スタミナもある。


 農家の後継ぎとしては最高な能力だと思う。




 スキルには大きく分けて5つの系統がある


【職業系】【身体系】【魔法系】【武技系】【魔力系】




 その内【職業系】【身体系】【魔法系】の3つの中のどれかの初期スキルを[授能の日]に授かる。




 【武技系】【魔力系】は後天的スキルだ。


 武術の訓練や魔力の訓練によって後天的に得られるが、【魔力系】の後天的スキルは、【魔法系】の初期スキルを得てる人しか得られないと考えられてるらしい。




 僕は[受能の日]前に、魔力制御と魔力総量増加によって、【魔力系】の[身体強化]を使えるので、それが間違いだと思っているけど、まあ、情報収集した中での、世間の知識レベルからすると、仕方ないのかもしれない。




 


 [受能の日]で圧倒的に多いのが、【職業系】の初期スキルで8割近くが、その初期スキルらしい。


 次いで【身体系】が2割ぐらいで、いわゆるパッシブスキルで当たりスキルが多いと言われてる。


【魔法系】は1〜3%とごくわずかで、希少だが成長がかなり難しいので微妙という認識らしい。




 


 ほとんどを占める【職業系】だが、残念な事に、【職業系】の初期スキルは、あんまり生家の職業に関係なく授けられる事が多く、かつ育てにくいという謎仕様だ。




 父さんは別の農村の次男だったらしいが、【職業系】[石工]の初期スキル[石つみ]を授かったらしい。


 それで、13歳の時に村を出で、辺境伯様の領都ブラットフォートで石工に弟子入りしたそうだ。




「えっー!父さん、辺境伯様の領都にいたの?全然知らなかったよ。教えて欲しかった」




「ん?ザックはそんな事、知りたかったのか?母さんと出会ったのは辺境伯様の領都でだぞ」




 おふぅ。僕の情報収集の甘さよ。やっぱり家族との会話が足りてなかったんだなあ。


 そりゃそうか、だってここは開拓村だし、祖父母もいないからこの村出身じゃないのは考えればわかるはずなのになあ。


 異世界先輩諸兄に呆れられる事案だなあ。すんませんパイセン!




 父さんは、こことは違う男爵領の出身だったらしいけど[石工]の仕事は、城壁のある大きな街ぐらいしかないらしく、一念発起、辺境伯領都まで出たらしい。


 なんとか[石工]に弟子入りしたものの、父さんの初期スキル[石つみ]は、城壁等の石を積む時に、バランスを取るのが上手い程度のスキルで、城壁なんて、修復さえ滅多になく、スキルを使う機会も少なかったそうだ。




 熟練度が増せば、「石割り」「石削」「調石」といった進化スキルがある事は知ったが、そんな機会にも恵まれず、石運びの毎日だったらしい。


 熟練度の伸びる様な仕事や、石の加工等は、親方の家族や親類が優先されていたとの事。


(奴隷の様な弟子入りシステムやなあ) 




 まあ、酷い事だとは思うけど、わからなくもない。溢れる程に仕事があるならともかく、そうでないならば、ライバルになり得る他人を育てるよりも、家族・親類を優先するだろう。




 それ程に、スキルの進化や位階Ⅱへの到達は、普通の生活をしていたら難易度が高すぎると思う。なにせ魔力量を増やさないといけないんだから。




 僕には[身体強化]での魔力枯渇があるので寝る時に出来るが、【職業系】のスキルを限界まで仕事中に使用して、気絶なんて、普通は出来ない。


 さらに、仮に無理やり気絶してたとしても、15歳までの成長期とは違い、魔力枯渇してもたいして魔力が増えないのだ。




 まあ、唯一、チャンスがあるのが、5歳で生家の家業のスキルを授かり、かつ親に成長期の魔力枯渇による魔力総量増加の知識があり、子供に無理やり魔力枯渇を強制する位だろう。


 15〜20歳までも身体の成長があれば、少しは伸びはするだろうが…。 




 成長期を過ぎれば、魔獣を倒してわずかずつでも魔力を得た方がマシっていう【職業系】には、厳しすぎる仕様だ。


(魔獣倒して、職工のスキル育てるなんて、気合いの人がいるかもしれないが・・・) 





 父は、このままでは、身体を壊すまで石運びになると20歳ぐらいに考え、同じく【職業系】の[料理人]の初期スキル[皮むき]を得たが、居酒屋の住込みで料理はさせて貰えずに、給仕をやらされてた母さんと出会い、最終募集のあったこの村の開拓村民に応募したらしい。




 世知がらすぎるだろ異世界!




 ただ、この開拓村の最終募集はおいしいんだって。


 辺境では、ちょくちょく領主様の肝いりで援助を得て、開拓村の募集が行われるそうだが、初期開拓は失敗が多いらしい。


 初期の井戸堀りや、水路・開拓・住宅建設・道造りなどなどのインフラ整備、さらに運要素の天候・水質や地質や魔獣の分布などで、少しつまずくと失敗に終わるらしい。




 その点、2次募集・3次募集・最終募集は、後になればなるほど、楽が出来てうまくいく可能性が高いとの事。




 両親は、この最終募集を見て、チャンス来たー!と飛びついた様だ。


 まあ、確かに、家が端の方になる欠点はあるけど、インフラは整い済みだし、相談出来る先達者が沢山いる訳だからなあ。




 ちなみに、ケビン兄さんの[頑強]は【身体系】で、いわゆるパッシブ系スキルで常に効果がある超当たりだ。


 まぁ、常に発動しているので、魔力枯渇もなく、お得な分、成長はほぼしないらしいけど。


 確かに、パッシブ系で魔力垂れ流しなら死ぬもんな。


 


【身体系】は[怪力][俊足][遠見]など、異世界物語に見かけるやつが多くワクワクした!


【身体系】は冒険者になる人も多そう。




 デジー姉さんは母さんと同じ[皮むき]らしい…。


(姉さん、ファイト!)





 そんな風に家族との時間を過ごす日々の中で、僕の心は少しずつ癒されていった。


 時間って奴は偉大だなあ。




 魔力枯渇だけは、スッキリ睡眠の為に継続していたが、一ヶ月ぐらい経ってからは朝のランニングを始めたり、せっかく作った木槍で、槍トレしたり、後にノルンに教える投擲訓練などを始めた。




 ただ、前みたいに急かされる様な感じではなく、運動と遊びを兼ねる感じで、投擲なんかは兄さんやご近所の子供との遊び感覚で、水切りとかやって遊んだ。


 以前の張り詰めた自分には申し訳ないが、お気楽なもんだ。




 せっかく、作った兼業カルテットとの関係も、前の様に必死な情報収集と違い


「おじさーん!遊びに来たよー!」




 と気楽に仕事の邪魔をしに行き、うっとおしがられながらも、世間話や仕事見学をしたりしたよ。




 追い詰めれないって事は、本当に素晴らしい事だった。




 どこか余裕があって、前回は全力だった生木の木槍づくり等も、余裕があるからから


「今度はしっかり硬い乾燥木材で作ってやるぜ!」


 と、木の選定さえ、冒険気分だったし、石ナイフなんかも


「おー!この形かっけー」


 と、なんか楽しいんだよね。


「どっかに、素敵な砥石になる石はないかのう」


 とか遊び気分で探したりした。




 そういう事を日中にやって、夕食の時にノルンや家族に報告するのだ


「今日はこんな事したよ」


「〇〇がカッコいいんだ」


「〇〇さんが〇〇なんだって」


 とか、実に子供らしい日々を過ごして行った。




 そんな冬の日々の終わり辺りに、


 春に行商が来る情報を知ったのだ。




 なんと護衛に冒険者もいるというのだ!!



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