24 空の笑顔
「人に愛されそうな良い名前ですね。」
俺は至近距離で綺麗なお姉さんで在る林果さんの顔と見つめ合って胸が自然と高鳴った、まるで恋人同士が口付けを始める距離に綺麗な顔が在る。真面目な顔で林果さんは聞いてきた。
「どうして、そう思うのかな?」
俺は林果さんの好感度を稼ぐ好機が巡って来たと思い、好印象を残すべく美女の名前を褒めた。
「林の中で成る果実は桃なのか梨なのか人々は果実を食べて美味しく思い、その果実の種を植えました、やがて其処は植えた木だけで林を形成し、そうして沢山の人に大事にされて行くのでしょう。」
真面目な顔のまま林果さんは喋る。
「それは私じゃないな、私は私、私が思い浮かべた意識が私を作る。」
静かな2呼吸過ぎて、林果さんは目を閉じた。
「私は人、人の姿の私の前に小さな木の芽が沢山生えて目の前で急激に成長して巨木に成っていく、その林の中で私は立つ。」
林果さんは言い終えると静かに目を開けて俺の瞳を真っ直ぐ見つめる、綺麗な黒い瞳は静かで美しかった、もう一人の美女が喋る。
「2人して真面目だねぇ~~名前は記号だよ意味を成すのは本人の意思さ。」
武術家らしい気軽さと自信の力強さを感じさせる声が聞こえる。
「そうね私達は言葉じゃなくて拳で語りあったものね。」
林果さんは楽しそうな笑顔を浮かべ、俺から自然と離れて行き、そのまま振り返らなかった。
ああぁ~~美女2人との会話は爽やかで心地良い気分にさせてくれた、胸を触った事はサラリと許してくれたと思うし、武術をしている美女は気にしないんだろうか不思議な感じが印象に残る、俺の情熱は満たされて大満足したし蓮華の所に行こうかな。
蓮華の処に辿り着くと水撫ちゃんと隣り合って床に座り、仲良くお喋りしていた。
「蓮華そろそろ行こう。」
「はい。」
蓮華は直ぐに立ち上がると水撫ちゃんが蓮華に声を掛けた。
「蓮華それじゃあ、またね。」
「ええ。」
俺と蓮華は女性の気合の声が木霊する道場を背にして木の廊下を歩く。
「林果さんの胸大きかったですね。」
人が誰も居ない暑い陽射しの中で蝉の声に混じって聞こえる蓮華の綺麗な落ち着いた声音が耳に心地良かった。
「見てたの?」
「はい。」
横を見ると蓮華の頬から汗が落ちる、サラサラ揺れる長い黒髪は涼しそうだ。
「空は小さい胸も大きい胸も好きなんですか?」
「大好きだ。」
横を歩く度に揺れる蓮華の大きな胸を見ながら間髪入れず答える。
「私の胸を触ってください。」
蓮華は立ち止まった。
俺の顔は自然に嬉しい笑顔に成る。
「喜んで。」
蓮華の服は胸の部分が大きく膨れて魅力のある曲線を作り出している、俺の指が美しい曲線を崩さぬように服の上からそっとなぞる。
「空に触れられると気持ち良いです。」
「蓮華の胸に触ると柔らかくて気持ち良い。」
俺は真剣に美を追求する、指に合わせて少し、へこむ服の生地をこれ以上崩さぬように蓮華の美しい胸の曲線を下から横、上と円を描き優しく触れる。
「んっ、もっと触れて。」
蓮華の落ち着いた甘い声に俺の心の胸が嬉しく反応しながら静かに頷く、俺は指先だけから手の平を使い蓮華の胸を下からそっと支えて優しく揉み揉みする、蓮華の胸の重みが心地良く柔らかい。
「んっ良いです。」
蓮華の顔は微笑んでいて綺麗だ、俺の心の胸は甘い嬉しさに満ち溢れていて満面の笑顔だ。
「蓮華好きだよ。」
「私も好きです。」
蓮華の綺麗な顔が俺の顔に近付いて来て軽く唇が触れ合うと、少し顔を離して至近距離で笑顔で見つめ合う。
「ふふっふっふふ。」
「蓮華の笑顔綺麗だね。」
「空、私嬉しいです。」
「俺も蓮華と付き合えて嬉しいよ。」
蓮華は不思議そうな無表情に成ると。
「私は出会った瞬間から空と付き合ってると思いましたが。」
「ん、どういうこと?」
「出会った瞬間から私は空に恋をしていたんです。」
「そうか嬉しい。」
幸せな嬉しい気分で、今度は自分から蓮華に口付けする。
「蓮華幸せにするからね。」
「私も空を幸せにします。」
2人は笑顔で幸せな甘い愛を囁く。
「お2人共仲が良くて宜しいですが私を待たせすぎです。」
抱き合ったまま身体を移動させて見ると、腕を腰に当てた藤子さんが立っていた。
謝ろうと口を開きかけ藤子さんを待たせていた時間の内容を考えた、素晴らしい出会いと素晴らしい経験だった。
そうなると藤子さんは持っているのが当然で謝る事は素晴らしい濃密な時間を軽んじる事に成ってしまう。
「この心の胸は今、数々(かずかず)の幸せに満ち溢れ、その貴重な経験は俺をさらに成長させてくれるでしょう。」
俺は笑顔を藤子さんに向ける。
「うん?それより早く行きましょう蓮華。」
蓮華は俺との甘い幸せな抱擁を自然に解くと、藤子さんと手を繋ぎ2人で歩きだした。
「すっーーーふっーーすぅーーーふっーーすぅーーーふっーーーすっーーーーふっーーーー。」
俺はゆっくり深呼吸すると、自然と顔に苦笑が浮かんだ、深呼吸で余裕を取り戻した心は、ゆっくり歩いて2人のお尻を追う事にした。
大きな青い門を抜けると瓦屋根の木造の建物が落ち着いた町並みを作っていて、その景色は日本人の心を持つ俺には気分を落ち着かせる効果があった。
と言っても大分俺の知っている町並みよりも時代が古いが木造の色合いや瓦、歩く人の着物風に見える原因の生地、共通点が沢山在って、そんなに違和感は感じていない。
万能機で歩幅を広くする事に因って楽をして歩き2人に追いついた、そのまま2人の後ろでお尻を観賞する、フリフリ、フリフリ、左右に魅力の在るお尻が動く、露出した白い太ももを見て静かにニヤニヤして心を癒した。
蓮華との甘い幸せな抱擁があっさり解かれて藤子さんと仲良く手を繋ぐ姿は女性同士の仲良しの絆を感じて疎外感が在り少し寂しかったが、此れから藤子さんと桃花さんとユイカちゃんを口説けば一緒に仲良く成れるのだと気付いたら、俺の心は何時の間にか軽く楽しくなっていた。
「着きましたよ。」
藤子さんが大きな門の脇の小さな扉を鍵を開けて中に入って行く、蓮華と俺は藤子さんに続いて扉を潜り中に入る。
中の景色は小さな白い石が敷き詰められた小道が奥に延びて緩やかに左に曲がり、道の始まりの左側には松の枝が大きく広がり、松の反対側には紅葉の緑色の葉が緩やかに風に揺れていた。
全ての景観が計算尽くされて配置された植物はお互いの背の高さと横の空間に余裕の在る幅があり視線が遠くまで遮られない。
「うわぁ~~立派な庭ですね。」
計算された植物の枝葉の配置が全て美しく見えて、独特の明るい存在感が演出されて清清しい。
「ええ、そうでしょう、毎日職人さんが此処の家を含めて此の辺り一帯の植物を管理しているんです。」
蓮華もゆっくりと辺りを見ているようだ。
「此方は裏口になりまして表はお店から入って頂く事に成ります、蔵から見て行きましょう。」
じゃり、じゃりっと小道が足裏の下で小気味良い音を鳴らす、道の途中で白の小道から外れて、背の高い木々が道の脇の左右から生えて植物のトンネルを作っている、茶色い剥き出しの地面の道を歩く、なんだか秘密の道を歩いている気分に成ってワクワクした。
頭上に高い木の枝の影を映しながら藤子さんは説明する。
「此方の6つの内1つの蔵を植木職人さん達が使っています。」
周りには草が丁寧に抜かれ地面が箒で掃いた跡が綺麗に見えた、蔵は1つ1つが大きく2階建ての家ぐらいの大きさが在る。
「さっこちらです。」
藤子さんが蔵の前に立ち扉の鍵を開ける。
「此方の1つの鍵が5つの蔵の鍵になります。」
藤子さんに渡された鍵はゴツゴツしていて大きくて重かった。
藤子さんは蓮華に比べると小さな身体全体を使って頑張って扉を開けると、息をついた。
「ふぅーーでは中を案内しますね。」
藤子さんが大変そうなので次は蓮華に開けてもらおうと決める。
「蓮華、藤子さんが大変そうだから次の蔵の扉は蓮華が万能機を使って開けてね。」
「はぁい。」
ぬ~っと、ゆっくりとした返事が聞こえた、蓮華の方を見ると胸元をパタパタ広げたり閉じたりしていた。
「暑いの?」
「ぁちゅいです。」
無寺の食堂から巾着が大きくなったような肩掛け袋を左右に乗せていた蓮華は顔から汗を流していた。
「あーそれじゃあ~袋を万能機に入れて蓮華の周りの空気を冷やしたら。」
「空、それでは藤子と手を繋げないのです。」
蓮華は袋を消すとトボトボ歩いて蔵の中に入ていった、俺は蓮華を大事に思っているので自分の冷えた周りの空気を蓮華に運ぶ、蓮華は冷えた風に目を細めて気持ち良さそうに立ち止まっていた。
蔵の中は薄暗く綺麗に掃除されているようで埃一つ無かった、周りを見渡すと藤子さんは居ない。
周囲が突然明るくなると周りが良く見えた、何も置かれていない空白の棚が壁に沢山並び無言の迫力を出していた、真ん中は広い空間が空いていて奥に階段が見えた。
藤子さんが階段を下りて来た。
「2階の窓を開けると1階の中が明るくなります、蔵の中は我が社で定期的に掃除をしています。」
「なかなか広いですね。」
「ええ、そうでしょう、2階も1階と同じくらい面積があります、行きましょう。」
蓮華は藤子さんと仲良く手を繋ぐと、振り返って俺の目を見てから凛々しい顔でニヤリと笑うと階段を藤子さんと軽やかに上って行く。
蓮華は楽しそうだ、俺も階段に行く、階段は想像した物と違い緩やかに上がっていた、トントンと階段を上る木の音を聞きながら足を運ぶと2階の明るい廊下に出た左右に部屋があるようだ、床には大きな四角い穴が開いており、穴の周りには木の柵で囲まれて落ちないように工夫されていた、此処から1階に光りを通しているようだ。
直ぐ傍の右の部屋から2人が出て来た。
「どうですか、此処は少し手を入れれば住む事も出来ますよ。」
「蔵は弄っていいんですか?」
「ええ蔵は何年かしたら建て替えるので、それまでは弄ってもらって構いません。」
「建て替えてからも住んでいいんですか?」
「5つの蔵は大丈夫ですよ、さっ次に行きましょう。」
藤子さんは楽しそうに蓮華の手を前後に振ると今気付いたのか。
「あれ?蓮華そういえば荷物無いですね?」
「暑いので荷物は蔵で入れました。」
「そうなんですか。」
そんな2人の仲の良い姿を後ろから見ながら着いていき、残りの蔵を見て周り5つ全てを見終わった。




