16 番外編 弓の華麗なるコロコロ
私は自宅の応接間で小さな客人をもてなしていた、桃色の机の上で可愛い小さな妖精が踊る装飾の上にハートの形をしたコップを置き、お気に入りのミルクティーを注ぐと緊張で萎縮した可愛い生き物である頬を赤くした小さなお猿さんの目の前にそっと置いた。
私は優君の答えを予測して楽しく成って来た気持ちを優しい笑顔の中に隠し可愛い小動物の緊張を解すように優しい声音に成るように意識してそっと話しかけた。
「それで優君のお話は何かしら?」
優君は少しだけ躊躇った後に緊張で強張った赤いお猿さん顔で。
「ぼっ僕、弓お姉さんの事が好きなんです、ぼっ僕と恋人に成ってください。」
私はとても面白い可愛い玩具が無防備に自分から目の前に現れた事で心に喜びが溢れてくるのを実感した。
彼の告白と言う選択肢は私の価値観を変えるのに充分な理由だ、彼は愛しい息子の大事な友達という私に庇護される立場を自ら放棄して、今まさに私が立っている大人の土俵に無意識に1歩踏み込んで対等な立場で向き合って居るのだ、1人の男としての価値だけを見る事に成る。
恋人に成るという事は少なくとも相手の心の立ち位置と同等かそれ以上でなくては成り立たないと思う、でなければ恋人としての満足感を満たす事がお互いに出来ず関係が上手く行かないからだ。
もし相手の心を理解できないの程の心の差が在れば足りない部分は努力か容姿か甲斐性か同じ趣味で心の絆を補い相手を満足させるしかなく、努力は主に自分を変えていく事を意味する、その点は彼はまだ子供で自分と言うものが解っているかも怪しい未完成品で自分を積極的に変えていく事は難しいと思う。
其処まで考えてから私は大人の余裕の上から目線で優君を素早く全体を評価した、顔は論外ね~~ペットとしてなら可愛いんだけどお猿さんとキスとかは無理ね、性格は子供ね息子の遥と正義の味方ごっこをして楽しんでるし外から見ている分には微笑ましいんだけど、恋人として見るなら物足りなくて退屈だ。
私は考える時間を稼いでいたミルクティーの入ったハートのコップを口から優雅に離して可愛い机の上に置くと、返事を待っている可愛いお猿さんに私に挑む平等な好機を与えて弄る事を心に決めていた。
「答えを言う前にね優君のお猿の真似の一発芸を見せて欲しいの♪」
私は楽しい気分を隠して全力で可愛い声を意識して出し、純情な優君の反応を見守る。
「弓お姉さんが見たいならいきます、ウゥ~~~ウィキィ~~~~モンキィ~~~ウキャキャキャキャ~~ウキャ~~。」
「あっははははははは、あははははははは、ははははははは、ははははははは。」
私は凄く可笑しく成ってしまった、私がやらせといて思うのは何だけど告白した後にお猿さんの真似は無いでしょ~~、はいぃ~~優君は減点されました其処は知性を発揮して断る場面でしょう。
私は笑い終わり楽しい気分で優君を見ると、私が爆笑した事がよほど嬉しいのかお猿さんにそっくりな顔で嬉しそうに笑って目をキラキラ輝かせていた。
優君の様子を見て私の心にピンと来た、この好きは憧れの好きね、画面越しの女の子を好きなるような綺麗な情熱を感じた。
「優君は私のどんな処が好きなの?」
「えっと、綺麗な顔と。」
優君が恥ずかしそうに言葉に詰まるので私は優しい声で続きを促す。
「うん、それから。」
「大きな胸が好きです。」
優君は言い切ったみたいなすっきりした顔で私を見つめた。
はいぃ~~優君は減点されました、私の容姿だけ褒めてもねぇ~~~少し嬉しくは在るけど心に響かないから物足りないわ~~。
「優君は良い男の子だと思うわ、だから私みたいな小母ちゃんじゃなくて同年代の女の子と付き合ったほうが良いと思うわ。」
「そんなぁ~弓お姉さんは小母ちゃん何かじゃ在りません。」
う~ん優君惜しいわ~~私は遠回りに断っているんだけどなぁ~~小学校6年生では難しすぎたのかな。
「解ったわ今から言う事は私が秘密にしている事なんだけど誰にも言わないと約束できるかしら?」
「僕は誰にも言いません。」
私は笑いそうに成る顔を気持ちで制御して、自然な感じで出来るだけ深刻そうな顔を作ってから下を向いて床を見た、自分で思った事を一瞬だけ本気で信じて話す。
「私は女の子が好きなの。」
言い切ってから顔を上げて優君の顔を見た、優君はポカーンとして大きく口を開けて自然と間抜け顔を作っていた、その表情は動物園で餌を貰おうとして口を大きく開けているお猿さんに非常に似ていた。
プックククク我慢よ私ぃ~~せっかく深刻な空気を作り出しているのに此処で笑ったら台無しだわ、何て恐ろしい子なの優君は。
私は女優よ、こんな時は無理して我慢せず自嘲気味に自分を笑うのよ。
「フフフフッ可笑しいでしょ~~笑っても良いのよ~~。」
アッ少し笑うと厳しい~~私の心のダムが決壊しそぉ~~。
「そっそんなぁ~~僕じゃ駄目ですかぁ~~。」
「クッ御免なさい~~優君のせいじゃ無いの~~私が原因だからぁ~~。」
やばい思わず笑いそうになってしまった、何だ此れ動物園のお猿さんといつの間にか昼のドラマに出演してるとか何の冗談なの~~。
私は急いで可愛い机に両腕を組んで置くと自然と頭を両腕に乗せて顔を隠しひっそりと笑い始める。
「弓お姉さん、そんなに肩を震わせて泣かないでください。」
優君、違うのよ私は可笑しくて笑っているだけなのよ、だけど好都合だわ。
「クッ女の泣き顔はね誰にも見せたくないのクッ。」
「そうだ僕は女の子になります。」
もう何が何だか解らないくらいに笑いの点穴を刺激されまっくた私はフッフンスーフッフッスーフッスーと泣いた風を装って鼻をフンスフンスさせて思いっきり笑たのだった、思いっきり笑えた私はすっきりした気分でしっかりと深呼吸をして冷静な思考を取り戻した。
私は顔を上げて優君をみると、優君は心配そうな顔をして席に座っているだけだった。
はいぃ~~優君大減点ですぅ~~頼り無さ過ぎぃ~~本当に泣いている女の子がいたら頭を撫でるとか慰めてくれないと女の子は愛想尽かしちゃうよ。
優君が私の恋人に成れるかの審査は終了した優君は不合格だ。
審査を終える事に因って私の心の中で決めている大人の枠から優君は自動で追い出され愛しい息子の大事な友人という子供枠に入り私の庇護の対象に入った。
私は大人が子供を諭すように静かに優しく道理を説いた。
「優君、一時の感情で決めて良い事では無いわ~~私の為を思ってくれる気持ちは嬉しいけれど優君は子供過ぎて女の子に成ったとしても私の恋人には成れ無いわ。」
「うっ。」
優君は苦しそうな顔をして言われたことを理解しようと努めているように見えた、うん、性格は真っ直ぐで良い子なんだけどねぇ~~。
「そんなに落ち込むことはないのよ~~優君の良い所は沢山在るんだから~~唯私には良い友達くらいにしか思えないの御免なさいね~~。」
「うわ~~~~~~~~~~~~ん、わ~~~~~ん、うううううううん。」
優君に私の気持ちがはっきりと伝わったようで大声で泣き始めてしまった。
私は仕方ないなと思いつつも優君の横まで静かに近付いて抱きしめてあげた、優君は私に力一杯抱きついてワンワン大声で泣いた、暫らくすると自然と泣き止んで優君は恥ずかしそうに身体を私から離した。
「えへへへへ恋って甘酸っぱいですね。」
泣いた跡が顔に残ったまま恥ずかしそうにお猿さんが笑った、笑うと本物のお猿さんみたいで愛嬌が凄く在ると遥がよく力説しているけど、その気持ち凄く解るわ~~。
「もう生意気ね。」
私は優しく微笑んで右手の親指と人差し指で輪の形を作って人差し指の爪で親指を押して力を貯めると人差し指を解き放ち優君のオデコにぶつけた。
「いてっ。」
「もう、それで女の子に成るのは止めたのね?」
「それなんですけど、女の子に人気があると思って好きに成った女の子に告白すると、いつも返事が良いお友達でいましょうねって断られて僕は女の子の気持ちが解らなくなったんです、それで遥と一緒に遊んでいると凄く楽しいし気心も知り尽くしてるし、僕が女の子に成って遥と付き合えたら最強だなと気付いたんです。」
え~何かしら此れ?疑問点が多いわね、優君は息子の遥と同い年の小学校6年生のはずなのに随分恋愛に熱心というか最近の子はみんなこんな感じなのかしら、それにしても、いつも断られるって事は恋に恋してる感じね。
う~ん優君の性格は真っ直ぐで良い子なんだけどちょっと御馬鹿ね、それでも遥と付き合えば恋する気持ちが満たされて落ち着くんじゃないかしら、優君はそれで良いとして。
私の女友達が在る日に突然男に成って現れて告白してくる状況を考えた、当然顔は私の好みだ、、、アレ?意外と良いかもしれない、そう理解すると私は前向きに息子の遥が優ちゃんと付き合えるかどうか考え始める。
遥は優ちゃんと毎日遊ぶくらいに仲が良く性格面の相性はとても良好だ、遥の日常を見た感じでは、まだ女の子と付き合うことを全然考えていないようだが、悠が秘かに正義の味方の戦隊の中の紅一点の女性を応援しているのを知っていた、長年の一緒の生活の中で遥の好みの顔はバッチリ把握済みだ。
私の教育方針は新しい価値観を持った刺激を適度に心地よく遥に提供することだ、その中で遥は物事の一面しか見えない価値の多様性に自然と気付き自分の心の守り方を学んで心を成長させる、新しい価値を提供する私も思考を凝らす事に因って楽しめるという毎日が自然と新しく感じる幸せの関係が築かれるのである。
私の愛を持って遥を弄れる喜びに全力で遥が優ちゃんをいかに大事に思っているかを熱心に説いて聞かせる、もし僅かでも遥の日常の中の優ちゃんへの思いやりに気付いて感動させる事が出来れば、もう私の思惑は成功したようなものである。
「えっあの時の言葉は照れ隠しだったんですか?」
「そうなのよ遥は照れて逆の言葉を言ったけれど、おなたの事を思って本当の事は言わなかったみたいなの。」
「そんな私はてっきり偶然解決したと思っていたのに、あの時の女子は凄い怒っていたのにそれを蟠り無く解決するには相当苦労しただろうに、それを原因を作った私に一言も言わないで解決していて、それを私に気付かせないなんて遥はなんて凄い良い奴なんだ。」
私は注意深く優ちゃんを女の子の意識が芽生えるように今から女の子扱いをして優ちゃんが自然と女の子の仕草をした時には全力で女の子らしさを褒めて一緒に喜びを分かち合って優ちゃんの心を女性の心に染めていく。
「弓お姉さん御蔭で遥の良い処に気付けました有難う御座います、私は遥のことが凄く好きに成ってしまいました、私は家に帰って両親を必ず説得して女の子に成ってきます。」
「良いのよ、私も優ちゃんが遥と付き合うのを応援するわ。」
「はい、それではさようならぁ~~。」
瞬間移動装置で帰って行く優ちゃんを見送って私は作戦が成功した事に満足して静かに笑みを浮かべた。
此処から先は優ちゃんの頑張り次第で在るが、その部分は私の手を既に離れている、優ちゃんが女性に成れば遥の好みの顔に成るし、いかに男性の胸に水着が必要なのかも力説しておいたので結果が出るのが今から楽しみである。
愛しい遥はどんな反応をして、どんな心の成長をするのか、自由な選択肢に思いを馳せる、きっと幸せな結果に成ると前向きな考えで私は遥の心の成長を期待した。
運命とは自分では選ぶことが出来ない現象だから私は心を静かにして事実を唯受け止める、残った私の気持ちは未来にどう影響するのか、どうか明日も幸せに繋がるように私は願うのだ。
●終わり




