第12話 リースとサマエル
リースが美女に挨拶する。
「サマエル、久しぶり。変わらないわね。」「アンネリース、あなたは、この男の妻になったの。」
「いま、私はリースよ。只のリース。」「つまらないわ。剣姫と言われていた時は、孤高で美しかったのに。」
「今の私は、素晴らしい夫と幸せな結婚生活と実業家として成功しているわ。」「何、人間臭いことをしているの。あのアンネリースはいなくなってしまったのね。」
ロックは、この美人が魔王サマエルか、リースと知り合いだったのだなと考える。さらにサマエルが残念がっているように思う。ロックがリースに言う。
「リース、魔王サマエルが君と会って残念がっているみたいだよ。」「魔王サマエルは、我が幸せなので妬いているのだ。」「そーっか。」
サマエルがロックに説明する。
「魔王ロック、そちは勘違いしておるぞ。我はリースがそちと結婚して、つまらない女になったと嘆いているのだ。」「リースは僕が幸せにするんだ。」
「そちはリースを堕落させている。」「それはサマエル様の考えです。リースに聞いてください。」
「そうだな。リース、そなた堕落しているぞ。」「私は、充実した生活をしています。あなたに堕落したなどと言われたくありません。」
「お待ちください。皆さん到着したばかりですから、リース様との会見は後程と言うことではどうでしょう。」
リリムが止めに入る。サマエルが改めて挨拶する。
「我は魔王サマエル、招待に応じてくれたことを感謝する。」「我は魔王サタナキア、同行しているのはロキだ。」「私はヴァルハラ王国のタダツグ、外務大臣のユキコを同行している。」「僕は魔王ロック、それと妻のリースだ。」
サマエルがロックを冷たい目で見る。リリムが続ける。
「皆さまをお部屋へ案内します。」
ロックは部屋に部屋に案内されるとリースに言う。
「僕は歓迎されていないようだね。」「お前様のせいで我が堕落したと思っているようですね。」
「僕はリースを幸せにできているかな。」「我は幸せですよ。お前様といると面白いことが起きますからね。」
「ならいいんだ。」「我はお前様の妻になってよかったと思います。」
僕は世界一の幸せ者だ。リース好きだよ。ロックが幸せに浸っていると部屋のドアがノックされる。ロックがドアを開けるとリリムが立っている。
「リース様、サマエル様がお話をしたいとお待ちです。一緒に来ていただけませんか。」「分かりました。」
「リース、大丈夫かい。」「お前様、我は大丈夫ですよ。」
リースはリリムについて部屋を出ていく。しばらくすると部屋のドアが再びノックされる。ロックがドアを開けるとタダツグとユキコが立っている。
「どうしたの。」「ロック、相談があるんだ。」
「部屋に入ってよ。」「うん。」
ロックたちはテーブルの椅子に座る。タダツグがロックに質問する。
「会見て何を話すんだ。」「僕もわからないよ。」
「僕たちは何も用意できていないんだ。」「僕も何も用意していないよ。」
「そうか、どうしたものかな。」「タダツグはヴァルハラ王国の隣国のことを注意すればいいかな。」
「バシュラール魔王国とサタナキア魔王国は友好国になったから気を付けるのはコール神教国か。」「あの国は魔王キーシリングがコール神として治めている国だよ。」
「以前のヴァルハラ王国と一緒だね。好きになれそうにないな。」「それでも友好条約を取り付ければいいと思うよ。」
「ロックはどうするんだい。」「たぶん、僕の魔王としての力量を確かめようとすると思うよ。」
「それならサタナキアと引き分けたのだから十分じゃないか。」「力の方はね。後は国をどう治めているかだね。他にヴァルハラ王国との関係かな。」
「ロック、ありがとう。後は自分で何とかするよ。」「ああ、お互い頑張ろう。」
タダツグとユキコは帰って行く。リースはリリムに案内されてサマエルの部屋に案内される。
リースが部屋に入るとサマエルはベランダの椅子に座っていた。
「リース、こちらよ。」
リースはいわれるままベランダに出る。
「椅子におかけになって。」「サマエル、我に何か用があるの。」
「我はそなたをライバルだと思っていたの。」「そう、自覚はないけど。」
「剣姫だったあなたは輝いていたわ。」「それは思い過ごしよ。我は退屈な日々と言う泥沼であがいていたのよ。」
「あれほどの剣の腕を持って退屈?理解できないわ。」「我はそなたとは違うのだ。我は今の方が輝いているぞ。」
「そう、ライバルのあなたはいなくなったのね。もう、下がっていいわ。」「いつかそなたも理解できると信じているぞ。」
リースは部屋を出ていく。部屋に戻るとロックが心配そうにリースに聞く。
「リース、大丈夫だった。」「ええ、サマエルは剣姫の我に幻想を抱いていただけよ。」
「誤解は解けたんだね。」「失望させてしまったわ。」
ロックはリースを抱き寄せて言う。
「僕がリースのことを理解しようと努力をし続けるよ。」「うん、うれしい。」
両腕の中のリースはロックにとって自分の命より大切なものだった。




