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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
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野心企画

視覚しかくに刺さってくるイチョウ【銀杏】の黄葉こうようぐん

茶碗ちゃわんしにはかせない

翡翠ひすい色のを包み込んだウ〇〇臭をはな

銀杏【ぎんなん】たちが重力落下ピークにある・・

・・<令和八年 晩秋>のこと。


┃ラジオ局の会議室にて┃


「年末特番では、

 公募(グランプリ無し)で、

 佳作入選した三作のうちの一篇いっぺん

 ヘヴィーな題材をあつかった

 実話ベースの『帰依きえ』に、

 アダプテーション〈脚色〉 をほどこし、

 めてみたい。そう考えました。

 ぜひ、皆さんのちからえをいただきたい。

 ・・ギャラクシー賞をねらえる題材だと思う」

乙骨おっこつPは、

脚本家グループを中心としたスタッフ会議で、

そう宣言せんげんした。


「うーむ、()たして・・

 (しおり)(ぼう)向きの企画と言えるだろうかね?

・・どーも、水と油のような気がする」

腕組みしたチーフ脚本家は、やんわりと疑義ぎぎていした。


「けどねェ、橋上ガミさん」

 と(プロデューサー)

「いまの汐坊は、

蓬莱ゆ(ユッP)ず季の舞台から受けた刺激しげきにより、

もう一段 高みへ のぼりたい願望が生まれている。

彼女の重厚じゅうこうな面を引き出せるチャンスだと思う」


おっこ(乙骨)っちゃんよ。

 宗教しゅうきょうがらみというのがねぇ・・

 なにか、こう、引っかかるのさ・・」


既存きぞんの宗派をえがくのではなく、

無論むろん、モデルとなった宗教法人は特定されないようにボカす)

 個人ベースの話なんだから、支障ししょういはず。

 がラテ局の法務ほうむ部も、

┃入選作『帰依(きえ)』は少々手直(てなお)しさえすれば

 名誉めいよ棄損きそんには当たらない。

 たとえクレームがきたとしても、法的に回避かいひできる┃

 との見解けんかいしめした。

・・編成部長もドラマ化には前向きです。

 聖林ひいらぎプロからはかり承諾しょうだくもらっている。

無冠むかんの笹森】返上へんじょう相当そうとう乗り気だ。

 正式な脚本の完成を待って、

 内容を精査せいさしたうえで、

 彼女(汐坊)の出ているCMスポンサーへの根回ねまわしは、

 全面的にってくれるそうです。

 あとは脚本ホンを完成させて、審査しんさを通すのみ。

汐坊の成長のために・・

ここは一発いっぱつ仕掛しかけましょうや!

・・ねェ、ガミ〈橋上〉さん」


他の脚本家メンバーは、

チーフの態度たいど表明待ちといったようすで、

お茶を飲み、静観せいかんかまえ☕


┃黒澤組にはんを取り、

『ラジオ(かな)カナ』のドラマパートは、

 乙骨(おっこつ)Pの執念しゅうねんと政治力によって、

 非常に贅沢ぜいたくな、

 複数脚本家制を採用さいようしていた。

(一作品を三人または四人一丸(いちがん)構築こうちくしていくシステム)┃

・・ラジオドラマの好調維持(いじ)秘訣ひけつはここにある。

・・けっして、汐坊の人気+芸の力+アクトだよりではない。


乙骨おっこつPは、

ねばづよ説得せっとく再三さいさんわたってかさねた。

汐坊の相手役(難易(なんい)度レベル高し)に、

売り出し中の個性派ミュージシャンを

ブッキングできる可能性をほのめかすと、

橋上(ガミさん)態度たいど軟化なんかさせ始めた。

そこを糸口いとぐちに一点突破(とっぱ)

チーフの首をたてらせることに成功したのである

納得なっとくしないまま強引ごういん着手ちゃくしゅさせたら、

 脚本ホンにならないのは、経験(そく)により(ほね)(ズイ)していた)。


こうして・・

脚本チームによって

アダプテーションされた『帰依きえ』は、

原石げんせき大幅おおはばにブラッシュアップ。

完成度・はげしさをよりしており、

Pの期待を上回る出来できえとなった。


各方面への根回ねまわしをとどこおりなく終え、

ようやく、

(しおり)当人に〈ホン読み〉させる段階にまでぎつけた。


(とつ)レンジャー撮影の合間をい、

打ち合わせに

マネージャー同伴どうはんでやって来た

(しおり)(ぼう)を、

乙骨は、

小会議室にまねれた。


(七尾は当該(とうがい)企画に支障ししょうなきコトを、

 上司の左近さこんから事前レクチャーされていた)


室内に入る。

汐と七尾マネはうながされるまま腰かけた。

テーブルをはさみ、

といめんひかえしは、

Pとガミさん(計四人fix)。


静かなたたずまいの中で、

早速さっそく

野心やしん企画 ━ 『帰依(きえ)』を読んでもらう。

=͟͟͞͞ 深呼吸するしおり脚本ホンのページをめくる =͟͟͞͞ =

タレントの真横に腰かけている七尾も、

別途べっと渡されたホンを同時進行で読み進めた。


∴ 汐は集中メーターを上げてゆき ∴

∴ 完全没入(ぼつにゅう)を果たし ∴

∴ 周囲を真空しんくう状態にしてしまった ∴

∴ それは ∴

七尾ななおにも伝播でんぱし∴

読解どっかいりょく恩寵おんちょうを与え∴

∴ななマネは かつていステージを体験していた∴


乙骨(おっこつ)Pとガミさん、

(よっ)つの目は()state。


ほぼ・ほぼ同時に脚本のページを閉じた二人。


現実戻りをたした七尾マネは目を見開き、

「これはスゴイ!

今までのラジオドラマに対するカウンターですね。

賛否さんぴを巻き起こすのは間違まちがいないでしょう。

チャレンジする価値はあると思う。

女優・笹森の新境地しんきょうちひらく可能性・(だい)

ただし、演技ハードルは高いですねェ」


三人の視線は\汐へ/一点集中した。

笑みを浮かべた女優は、

おもむろに口を開き、

━━「()ンない!」と切り捨てた。


乙骨Pは顔をドス黒く酸性(さんせい)化させた。

七尾は口をあんぐり開き、

チーフのガミさんは「プーッ」と吹き出した。


久方ひさかたぶりに、

汐の直カン(・・・)が深いところから発動した!

━━「回避かいひすべし」と。


乙骨Pは不快な感情をおさえ、

つつみ込むようさとした。

「この作品は、汐坊のキャリアにおいて、

メルクマールになる可能性を多分にふくんでいる」


対する、

女優の答えは変わらず、

┅┅ 断固(だんこ)「NO!」であった。

 

 ガミさんは中立ちゅうりつを守り、もくして語らず。

 七尾は、汐のひらめきをいくつも経験済みゆえ、よけいな発言をひかえた。


乙骨おっこつ精魂せいこんこめて、

小一時間ばかりかけ、

せようとこころみた。

「汐坊よ、どこに不満があるのか言ってくれないか?

 これだけの完成度を持った脚本(ホン)は、

 そうそうお目にかかれんぞ。

 起承きしょう転結てんけつととのった、

 ウエルメイドだけを物差ものさしにするのはあやまりだ。

 テーマに深く切り込んだ完成度というのもある。

 いわゆる・・文学的と表現されるカテゴリーだな」

汐は、

Pの言葉をしかと受け止め理解はしていた。

けれども、首をたてに振ることはなく ┅┅ 平行線。


すじとおった先達せんだつの理屈┃

    OR

┃心の扉をたたいたmy直カン┃

のるそる選択は ┅┅ 後者に軍配ぐんばい


フッと息をついた乙骨はサングラスをはずし(珍!)

二本の指を使い、

まぶたの上から、

両目にマッサージをほどこす。

「汐坊よ、真っ先にお前さんに声をかけた。

 この事実だけは、くれぐれも、忘れんでくれよ。

再びサングラスをけたPは、 

「・・やはりガミさん、

 これは 蓬莱(ほうらい)ゆず() にこそ相応ふさわしい企画でした。

 彼女の演技力をもってして初めてこなせるたぐい

 特番枠をもうけ、

 (ギャラクシー賞エントリー作として)

 ユッPにオファーしましょうや」


━ 汐のコメカミは(ネコ)(みみ)のようにヒクついた。

━ タレントの表情をジっとうかがう、ななマネ。


それでもなお、

女優は自分の意見をひるがえすことはなかった。

汐が持つ、神秘しんぴのもう一つのはしら ┅┅ るぎなし。


会見は首尾しゅびに終わり、

とんでも疲労をった乙骨(おっこつ)Pは席を立とうとした。

その刹那せつなタイミングをつかまえ・・

・・汐は、沸々(ふつふつ)している構想こうそう

  滔々(とうとう)と述べたのである。


┃<スーパー戦団もの>の不自由な撮影様式(マロ限定)と、

 みずから望んだこととはいえ、

 セリフを一語(いちご)も発することのできない()欲求不満ヽ(`Д´#)ノ

 かてて加えて、

 ゆず季の舞台演技から受けた、火の出るような刺戟しげき

 行きのない<女優の想像力は>グツグツえ立ち、

 揮発きはつを始めていた。

「息苦しさからはなたれ・・思うがままに演じたい」

 まりにまった

 エネルギーを炸裂さくれつさせるべく、

 汐は、

 乙骨(おっこつ)Pに直談判じかだんぱん

 MY企画をプレゼンみしたのであった。

 しかも、生き生きと楽しな表情を噴出ふんしゅつさせて┃








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