七尾の申し出
夏の 蔵出し第四弾。
雨多き旧盆も過ぎ去り、
ようやく夏らしさが戻ってきましたねェ。
今年(令和8)の梅雨は陽性でよく降ってくれたから、
思いのほか・蝉・も元気なり♪
(昨年は、ほとんど見かけなかったのよ)。
もしも・・
弱ってしまった┃蝉コロン┃=地上での仰向け姿
を見かけたら、
指・もしくは細い棒を差し出してみてください
(噛んだりしないからご安心を)。
余命のある場合、
健気にしがみついてくるので(指先に命の力を感じまっせー)
その状態のまま移動して、近くの樹木へ避難させてあげて欲しい。
セミ・ファイナルから延命する可能性あり
〈セミの寿命は一週間ではなく、もっと長いンである〉。
一日一善=セミコロン救出作戦GO。
~前置き終了~
<本編開始>
❚日付変更線を大幅に跨いだ深夜帯❚
ドライバーの七尾マネは、
リアミラー越しにタレントのようすを窺った。
後部座席でトロンとしている汐戦士は、
━ 夢うつつ間を往復stateしていた。
都心のタワーマンション。
七尾は、
サンバイザーのチケットホルダーから
専用のICカードを抜き取り、
センサーに翳すと、
シャッターゲートシステムを通過
・・地下駐車場へ滑り込む。
顔認証セキュリティー・システムのELV前。
昇降機着。
到着音♪
扉が開く。
「汐さん、
あしたは待望のオフですね。
本日はお疲れさまでした」
ケージに乗り込む笹森汐の 後ろ姿に向かい、一礼。
お見送りする、ななマネ。
「ななちゃんも、ごゆるりと休んでネ。
~ 売り買い=bye-bye!~ 」
お洒落なコートに身を包んだ汐は、
振り返ると、
疲労困憊のようすながら、
チャーミングな笑顔を見せ、
ダジャレまで放ち、エレベーターに乗り込む。
\そのタイミングを捕まえ/
「あのう、汐さん。
折り入って ご相談したいことが、」
「えーっ⁉
いま=NOW?」
エレベータの《開》ボタンを押したまま、
意外そうな表情で、もう一度、振り返る18歳。
━ 25歳の表情は 真剣み を帯びていた。
「いえいえ。
みょうにちで、かまいません。
もちろん、汐さんに、ご予定が無ければの話ですけど・・」
(少しの間を置いて)
「OK!
あした午前十時にしようか。
相談料として、
マーメードカフェのラテ・ホット(ノッポサイズ)をよろしく」
「はい!
ありがとうございます」
ななマネは、ふたたび、頭を下げた。
上昇する高速エレベーターの中で、思案する汐。
二代目マネージャー:ななちゃんから、
相談ごと(懇願含み)を持ちかけられたのは、初めてのことである。
予期せぬ申し出に、
神経の一部は尖がり、
睡魔など、引っ込んでしまった。
いわゆる「気懸り」という心理陥穽。
・・深刻な内容じゃなければいいんだけど。
考えられるのは・・
Ⓐ 仕事上のストレス。
Ⓑひょっとしたら~寿退社かも⁉
(確か、ななちゃんの実家は代々続く【造り酒屋】だったはず)
Ⓒあるいは~下世話なお金の話?
Ⓓまたぞろ~《スプーンを曲げ》へ誤誘導してくる可能性もゼロではない。
━ パターンⒸはそこそこ多い。
遠縁の親戚を名乗る人とか、
記憶に薄いクラスメートなどから電話連絡が来て、
お金の無心をされたりするのだ(基本お断り方針)。
財政管理をしている笹森母曰く、
┅┅「貸したお金は金輪際帰ってこないもの❢❢」
実は・・
多忙なDJアイドルには、
ひと眠りしたら、
やりたいことが明確に存在した ━
三台あるラジオレコーダーに、
<鬼エアチェック(録音)済み>である
未聴取状態の「お気に入りラジオ番組」に加えて、
「特番(ハズレ率少なし)」ほか、
一部で評判になっている番組の録音をも、
片っ端から聴きまくり、
フルイにかけ、撹拌し、
<ラジオ哉カナ>の栄養源にするという、
━ 自身に課した一大使命が。
DJアイドルのお気に入りオンエアは・・
◎ラジオ日本の音楽番組×2(とても勉強になる)
同局の看板『中央競馬実況中継』(ワケわからんけど面白い)
◎TFM『あ、安部礼司 』(企画の勝利)
◎ NHK『ラジオ深夜便』(「時代を作った声」と「話芸百選」は必聴)
◎ TBS 『日曜天国』(ナンバーワン聴取率/打倒の日は遠からずじゃ!)
◎ ニッポン放送『○○院〇のタネ』(ラジオ王による起死回生の一発)
◎ 声優系コンテンツもチェック対象(ボイスアクターの人気は最早カルト)
ほかにも、好きな番組というより、
その一部をなす『名物コーナー』は欠かせない。
ざっくばらんに、
18歳DJの
まっさらさらな本音を述べれば、
令和八年現在において
┃メチャクチャ面白いラジオ番組┃というのは、残念ながら存在しない。
━♪━
『ラジオ哉カナ』のフロートたる放送ドラマは、
手前みそにはなるけどイイ線だと思っている。
過去のラジオドラマに比べて、
|内容はともかく|
音響効果が段違いにレベルUPされている。
他の追随を許さない、乙骨P・執念の所産。
━♪━
『哉カナ』のコアリスナーから贈られた、
ラジオ史に残るような過去番組の「録音データ」をポツポツ聴き、
比較検討すると、
かような結論に至ってしまうのである。
昔の放送から伝わってくる熱気たるや凄さまじい。
時代と共振し合い、ラジオは燃え盛っていたのだ!
現在ではワールドワイド(且つパーソナル)なYouTubeがそれにあたる。
70年代に放送されていた、
『キンキンのそれいけ歌謡曲』のパワーときたら途方もない。
番組内コーナー『ミュージックキャラバン/男が出るか?女が出るか?』
の類い稀なテンション。
外回り時代の若き久米宏と平野レミとのコンビによる掛け合い、
クイズ参加者を巻き込んでのやり取りは、まじブッ飛んでいる。
━━ こういう番組が平日の午後に放送されていた驚きよ!
『夜のミステリー』や『夜のドラマハウス』等の
ラジオ 帯 短編ドラマにだって、
唸ってしまうような宝石回がある。
声優のクォリティーも基本高い。
┃映画級┃の特番・音声ドラマすら存在する。
単発SP吉村昭原作 ━ 『羆嵐(80)』は、
めまいがしそうな豪華キャスト揃い踏み。
主演:高倉健さん(ワォ!)。
脚色は倉本聰ときたもんだ。
重厚感ある113分の長尺radioドラマの内容は、面白いに決まっている。
唯一の欠点は、
ヴォイス・アンサンブルがいささか弱いこと。
╏閑話休題╏
ともあれ、
CMおよび不要な部分をスッ飛ばしリスニングするのに、
「ラジオレコーダー」は素晴らしい性能を備えている。
某社のICZシリーズは音質にいささかの瑕疵あれど、
名機に値しよう。
乙骨Pはじめ『哉カナ』スタッフ連も愛用している。
━ スマホやネットラジオ〈radiko〉の台頭、
半導体の供給不足、もろもろの事情により、
生産中止に追い込まれたのは、残念でならない。
ラジオはやがてネットで聴く時代に完全移行してしまうのだろうか?
VOD=ビデオオンデマンドが主流になり、
フィジカル〈dvd〉ソフトが減少していったのと、
同質の寂しさを感じてしまう、古風な汐であった。
━〇━
オフ日の朝風呂上がり♨
冷えたビールを飲み、ポテチをパリポリつまみ、
録り溜めした番組の「あるもの」は、さくさくスキップ聴きし♪
別の「あるもの」はじっくりリピート聴きして、
有益データをストックしていく。
また、努力しなくっても脳内に、
ナチュラルインプットされてしまう不思議。
・・かけがえのないハッピータイムなのだ♡
━〇━
でも、まあ、しかし・・
ななちゃんの頼みとあっては仕方ない。
タレントとマネージャーは、
ある種一心同体・二人三脚の間柄なのだから、
一肌脱いでしかるべきでしょう。
汐は、
熱めの湯に浸かったのち♨
バラの蕾のガウンを身に着け、
ソファに胡坐をかき、
スマホ片手に、冷え冷えの缶ビールを飲む。
「ク━━━ッ!」
苦行の後のビールは、
沁み入るように旨かった。
スマホを左手ONLYでスイスイ操作。
コミュニケーションの復旧した、
冴子にLINEのリターンをする。
汐には「冴子さんは、自分を嫌ったわけではない」という強い確信が、
直勘ダイレクト来ていたので、
再会は偶然の賜物ではない、当然の帰結という気がした。
reunion以前には・・
汐 自ら
オフ日を利用して、
京都の老舗旅館に(仮名で予約を入れ)突撃宿泊するという
サプライズ計画!を、
ひそかに立てていたことも・・あるのだ。
━ 実行したら、冴子女将は、どんな反応を示しただろうか⁉




