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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
103/105

番外編|事故現場サイト

18歳未満の方は「閲読(えつどく)」を避けておくんなまし。

不快な気分をもよおす描写有り。

「はい、

『事故現場サイト』収録(しゅうろく)スタート・・五秒前!」


がりさえ良ければ、

乙骨(おっこつ)Pの判断(ジャッジ)しだいで、

放送(オンエア)されるかもしれない・・薄氷はくひょうシチュエーション。


オンエアか?

はたまた、欠番(けつばん)か?

・・瀬戸際せとぎわ () 試練しれん


当該とうがいエピソードは、

乙骨(おっこつ)P以外の者が初めて演出を担当する、

実験(じっけん)ラジオドラマ>なのである。


「はい、録音スタートGO!」

先般(せんぱん)(ラテ局内移動にて)配属(はいぞく)されてきた

『哉カナ』の次代じだいにな

若き幹部(かんぶ)候補生、

寛谷(ユタ二)プロデューサー(P)補佐ほさによって、

┃本番のキューサイン┃が出された。


▣ 乙骨Pは(意図してか?)本番収録に顔を見せなかった ▣


 プロット(草稿)を作成したのは、ユタ二P補佐(24) 自身。

 結構けっこうあまい※草稿そうこうを、

 ガミさん(脚本家)チームでブラッシュアップして、

 完成させた(と、汐は仄聞(そくぶん)している)。


ふだんより・二割(がた)・完成度のおとる、

脚本ホンを左手持ちし、

ニューフェイスの成長に一役ひとやく買おうと、

録音マイクに正対せいたいした笹森 汐は、

霊感を呼び寄せ、

いままで演じたことのないタイプのキャラクターに

たましいを吹き込んでいく。


『事故現場サイト』と題された、

実験ラジオドラマのストーリーは以下のごとし。


━〇━

汐の役は、

看護大学に通う「鬼頭きとう 莉緒りお」という、

自身(じしん)の実年齢と近い~20歳Miss(ミス)である。

百均ひゃっきんショップのセルフレジで商品をたくみにチョロまかしたり、

チケットの不正転売で小遣こづかせんかせいだりする、

ちょいワル〈悪〉女子だ。


(ヴォイス)(アクター)(しおり)はセリフのテンポを少しばかり上げ、

莉緒りおの持つ小悪魔(こあくま)感をキリッとした声質に乗せ、

チャッカリ感をまぶし、キャラ造形ぞうけいしてみせた。

 無駄(ムダ)詳細しょうさい蘊蓄うんちくの散りばめられた

 新米しんまいP補佐のホン〈脚本〉は、

 《セリフ&若者言葉とも》そこそこ良く書けていて、

 友人とスマホ通話のさいに、

 「つねに相手を先回りしてしまう頭の回転の速さ、

  勝ち気(・・・)なところ+狡猾(ズル)さ=エゴ」を彫琢ちょうたくできており、

 ・・莉緒という人物は〈一応いちおう〉キャラ立ちしていた。


タイクツな看護大終了後。

レディースリュックを背負った莉緒は

電動キックボードをビュン!と走らせ、

近所のスーパーで買い物をしてアパートに戻り、

夕飯の支度したくませたのち、

湯っタップリ風呂にかると♨

今夕こんせきも自室にこもり、デスク上のPCを立ち上げた。

━ 「シシシシ」というEvil laughing【=邪悪じゃあく笑い】を響かせ(汐のアドリブ☆)

腰掛け姿勢で\プシュッ!/タブを開き、

冷え冷えの缶ビールを飲み、

手作りのツマミを食べ、

エグイ画像・動画をのぞくタスクにはげんでいた。


◆ぐちゃぐちゃになった事故〇体

◆バラバラ〇体

◆動〇虐〇動画などを見ると、

身をフルわすような興奮状態にシフトしていける。

・・異性と付き合うより(ダン)(ぜん)いい!

・・素敵なカレシなんて、絵空えそらごとに過ぎない。

・・それに引き換え「〇体」や「ペット虐〇」はグッとくるのだ。

うら若き20歳はそーゆー独自(どくじ)価値観の持ち主だった。


今日きょう今日きょうとて、

ダークなネット世界をみやびにトリップしている莉緒(Rio)

一発目は~

前菜(オードブル)「ペット〇待」動画からスタート。

┃ケージに入った「ネ〇」の真上まうえから 、

 グツグツの熱湯♨をぶっかける手口てぐちは、初見しょけんである。

 前脚や後脚をヘシ軟弱(ヤワ)な動画は、もうおなか一杯。

 ときには新手(しんて)に出会いたい。トゥデイは好日(こうじつ)なり~「シシシシ」┃

愛玩動物の ()断末魔だんまつま を聴き♪

せまいケージ内を狂動する姿を目にすると(^O^)

莉緒りおの声はかすれ、

ブレスは「ハァハァ」あらくなり、

白目しろめき、興奮はレッドへ突入していく。

(しおり)吐息といきまじえ・AVとは線引きし・ツヤっぽく表現した♡

 新米しんまい演出家へのサーヴィスである。普段は絶対()らないたぐい


缶ビールからストハイ(Alc.9%)に変えて、

ステイオンタブを\プシャッ!/と開く。

二回戦は~

┃横たわっている・若い白人男性を・いきなりおの斬殺ざんさつするワンカット動画。

 真実(?)のbloodが威勢いせいよく飛び散るお宝映像。悲鳴も絶品である。

 ・・AIフェイクであっても上出来だ!┃

ルキ()ド琴線にビンビン触れまくり、

「シシシシ」笑いが深くくなり、莉緒の両目はり上がる。


スーパーストロング(12%)に()チェンジ。

\パキッ!/っとタブを開く。

┃「炭酸・Alc.度数」をサウンドのみで♪

 表現しなければならない音声スタッフは大変なンである┃


とっておき、

メインディッシュは~

やみネット界隈かいわいでは大評判の・・

・・ダークウェブ『事故現場サイト』の扉をたたく。


どうやってったのかは不明だが⁉

生死を彷徨さまよう「プレ死体」のホヤホヤ写真や、

遠からず()くであろう「人身事故写真」が、細い目隠し入りで紹介されていた。

ことごとく日本人なのはポイント高い。しかも令和の画像なのだ。


かつてタイ国では、

死体写真の<Friday>といわれる

『アチャヤーガム(อาชญากรรม(犯罪) )』なる雑誌が隔週発行されていて、

本国の書店・コンビニ・街のスタンドで手軽に買えたものだ(現在廃刊)。

莉緒もバックナンバー数冊をネットオークションで購入し、

コレクションしていた。

けれども、

それよりエゲツナイ写真(しかも日本人ばかり)をおがむことが、

ダークウェブの某サイトでは可能だった。


ひと月ほど前・・

くだんの暗黒サイトのウワサを聴きおよんだ莉緒は、

やみネット界特有の複雑怪奇すぎる手続きをみ、

試行しこう錯誤さくごのすえ、

いっ昼夜ちゅうやかけて《長ねぎアイコン》を入手、

そこを先途せんどにアクセスを果たし、

ようやっと「とば(くち)」にたどり着いたのだ。

ダークウェブ内<某サイト>の開けゴマ(・・・・)かない、

初見した瞬間(とき)欣喜きんき雀躍じゃくやくした。

━━ これこそ莉緒りお渇望かつぼうしていた<邦人(ほうじん)bodyの>世界なのであった!

   ちなみに彼女は映画も〈邦画と日本製アニメ〉しか見ない国産主義だ。

   海外旅行なんか、てんで興味なし。


ディープなやみネットコミューンでは、

「事故画像を投稿とうこうしているのは誰だろう?」論議が沸騰(ふっとう)していた。

順当じゅんとうに救急隊員の仕業しわざではないか?

あるいは鑑識かんしき課の写真係?

事故現場は特定地域ではなく、

日本全国にまたがっていることから、

個人ではなく、組織的な犯行かもしれない⁉

・・揣摩(しま)臆測(おくそく)(かまび)すしかった。


惨事発生現場(ダークスポット)の画像や詳細な〈住所・日時〉の記載きさい()ることながら、

えられている「事故解説文章」がまたエグかった。

的確てきかくすぎるデッサン、

なまなましい描写力びょうしゃりょく

読者の想像中枢に注射をつような文体(ぶんたい)シャープは、

「ビスケン」ではないかという声が多数たすうめた!

(本人はnoteにて否定コメントを出した)。

━ 読む者を暗黒エクスタシーにみちびく、表現スキルが並外なみはずれているのだ。


数々の画像と添付てんぷ文章を、

ストハイぐらぐら頭で咀嚼そしゃくしながら、

ホットな吐息といきらし、

至上しじょうヨロコびに身も心もひたっている莉緒(りお)


女性活動(pleasure)ませ、荒い息を吐きながら

(再び・演者(えんじゃ)(しおり)の桃色アクト)、

直近(ちょっきん)UPされた、

最新事故のNEW見出し<ミニ画像>をクリックする。


原形げんけいほとんとどめない変状へんじょう遺体いたい

 救急隊ではない<専門処理業者>が

 全身をおおうタイプの

 「体液()れ機能を持つ特殊シート(授業で習った)」につつみ、

 慎重にストレッチャーに乗せ、

 遺体搬送車へ運ぶ・三種類のみ画像・だけがっていた┃

いつもとは違い、

寄り〈アップ〉が一枚もないこの画像でもって、

ダーク・サイトの投稿者は、

逆に、救急隊がらみであると推測すいそくできるのだ。

最新の事故現場は莉緒の住まいのすぐ近くであった。

「日付・時刻データ」は・・未記載(みきさい)なり。


莉緒りおはマルキド好奇心をおさえきれず、

翌朝早起きして、事故現場である交差点へおもむき、

「シシシシ」笑いをこらえつつ、

死臭ししゅう肌感はだかんできるスポットで、

シャッターをバチバチ切りまくりスマホにおさめていった。

そのとき、

彼女の近辺きんぺんを、

明かなスピード違反速度で、

スラブを積載せきさいした大型搬入車両が急カーブを切った。

━「チッ!」舌打ちする莉緒。

車両の固定ワイヤーがユルみ、

ミリ秒置かずに、

巨大なコンクリートスラブが、

ヒト反射神経を起動きどうさせない速度でもって、

莉緒の頭上めがけて直撃を果たし、

グシャグシャの、原形をとどめない高度身体損傷へいたらしめ、

若い女性の命をうばい去った。


即死そくしした莉緒の・浮遊(ふゆう)する(タマシイ)・をいましめる、

閻魔(えんま)さまの声が聞こえてきた。


「ワッハハハハ。

不届ふとどき者 ❚鬼頭(きとう) 莉緒(りお)❚ のあわれな末路まつろじゃ。

今後は・・人の不幸をわらう、

お前のような<おろか者>を惨死ざんしへ誘い込む、

(ダーク)サイトの管理人として日々(ひび)はげむがよい。

死者100人を地獄にみちびき入れたら解放しようぞ!」


享年(きょうねん)二〇。

 短い生涯(しょうがい)であった(ナレーション())┃

━〇━


スパッと切り落として ━ エンディング。


「皆さん、お疲れさまでした」

寛谷(ユタ二)P補佐の声がせまいスタジオ内に響いた。

「三十分番組」の収録タイムに2時間以上を(よう)した。

・・通常ならば1時間程度で終わる。


演じた汐は、

相当そうとうまなければオンエア不可能と判断した。

いくら話の整合性せいごうせいをつけるためとはいえ、

動物〇待をヨロコブ描写はマズイっしょ!

ほかにもアブナイ表現がちらほら。

・・それに肝心(かんじん)かなめの「落ち(・・)」もイマイチなのよね。

ボツの可性大。イヤな予感しかない。


終了後には恒例こうれいの、

キャストスタッフ全員の集合写真をスタジオ内で撮った。


いつもとは違い、

小さなスタジオを与えられての収録のため、

正味しょうみ四人、ひっそりとしたパーティー(party)である。

ヴォイス()キャスト()は汐ただひとり、

スマホ会話のシーンは汐の一人二役。

閻魔(えんま)様の声とナレーションは、

あらかじめ局アナが吹き込んだものをインサート。

ネット動画を見る音声場面は、

安上やすあがりなフリー素材(そざい)をサンプリング。

・・どんだけ期待されてないんだ⁉


パーティーの中心に寛谷(ユタ二)P補佐と主演のしおり

両脇を固める技術部門のスタッフ二名は、

セルフタイマーのセットされたデジカメに収まった。


新米P補佐はれくさそうな様子で、

<処女作記念>にと、

DJアイドルとのペアフォトを願い出た。

汐は「お安い御用ごよう」と快諾かいだく

P補佐は2ショット画像をMYスマホに収めた。

汐も自身のスマホを取り出し、シャッターを切った。

プレビュー画像を確認する・・

汐の|左横|には、

ひどく気落ちしたP補佐の表情が切り取られていた。


とっさに彼のうしろ姿を追いかけ、肩を叩き、はげます。

「ユタ二君。必ずオンエアされるから、大丈夫だいじょうぶだって!」

ふり向いたP補佐は精一杯の活力をしぼり、

「ありがとう、汐坊(しおりぼう)」とだけ言い、

さびしそうにスタジオを・・(あと)にした。


━━

二日後のこと。

ラテ局・製作部の、とあるデスクへ、近づいていく女子社員。

そのデスク周りだけ、お歳暮・贈答ぞうとう品で、うずもれんばかり。

乙骨(おっこつ)課長、面会の方がお見えです」

サングラスを掛けたPは、

パソコンモニターから目を離すと、

「そんなアポイトメントはあったかな?」

首を左右に振る女子社員・・「いいえ」

サングラス課長はPCに目線を戻し、

「いまいそがしいンだ、引き取ってもらいなさい」

女子社員はかさねて、

笹森(ささもり) しおりさんですけど、よろしいんですか?」

乙骨はグイと顔を上げ、

「それを早く言わんか!応接室にお通し しなさい」

「はい。すでに、そちらでお待ちいただいております」

「うむ、すぐに行く」


乙骨Pは向き合うようにソファに腰掛ける。

めずらしいな、編成部に来るなんて。どういう風の吹き回しだ?」


ノーメイクに近い汐はナチュラルな感じで、

「年末・年始の番宣(ばんせん)収録よ。

きゅうに、乙骨さんの顔が見たくなってさ。

これは私からの、お歳暮(せいぼ)。今年もお世話になりました」

と言うと、シックなデザインの手提てさげ袋から、

箱入り『ブラントン ゴールド(バーボン)』を抜き出し、

ソファテーブル上にドンと置いた。


Pは警戒(けいかい)オーラをめぐらせ、腕組みをする。

「ちょっと待った!

こんな高級品をすんなりともらうワケにはいかんゾ。

・・なにか魂胆こんたんがあると見たぜ」


「シシシシ」と汐は笑い(まだキャラ抜けできていない模様(もよう)!)

くっきりとうなずいた。

じつは、このあいだ配属されてきた、

寛谷(ユタ二)P補佐のことなんだけど・・」


乙骨はサングラスの向こうで目を見開いた。

「お前、地獄耳じごくみみか?

ラテ局の人事にまでつうじてるとはな」


「そんなオーバーな。

彼が担当したラジオドラマの・・」


「おいおい、話がみ合っとらんぞ。

たしかに寛谷(ユタ二)はオレの大学の後輩でな、

総務省の内定をって、

どうしてもラジオドラマを演出したいと、

わがラテ局に入社して来た変わりダネだ。

24歳になる来年の誕生月=つまり年明け一月に、

P補佐として『ラジオ(かな)カナ』の製作部門に配属されるはずだった。

ところが三週間ほど前に・・

交差点でスレ違った大型搬入車が荷崩にくずれを起こしてな、

コンクリートスラブの直撃ちょくげきい、

()くなったのだ、寛谷(ユタ二)は・・残念だよ!」


汐は金魚きんぎょのように(くち)をパクパクさせ、

スマホをポケットから引っ張り出し、(イナヅマ)スクロール⚡

寛谷(ユタ二)P補佐とのツーショット画像を呼び出した。

モニターに写しだされたのは・・しおりただひとり。

彼女のとなり、|左横|にP補佐の姿はなく、

写っていたのは・・背景(はいけい)だけだった。

━━


『旧盆/番外編』おしまい。

・・妙に雨の多い お盆 だこと・・







※)ストーリーの構成、組み立て、全体の見通し=結構。

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