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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
101/105

カオス突入・・その2

夏の 蔵出し第三弾。 

正真しょうしん正銘しょうめいの、

 カルテット〈四色ブレンド〉のいきに近づいてくれたまえよ!❚


そのような企図きと内包ないほうした

長廻ながまわし本番」は丸一日かかった。


リハに、

三日ばかり時間をき、

計四日の・・< (いばら)撮影>。


マロぶし大全開!

怒声(土星)でもって 思い切りめ上げ、

全員をリミットのてのてまで追い込んだ。

玉虫たまむしスペックの暗黒面=大人おとな声を発したモモですら

例外(わく)ぱらい、

オニのくせして??

 心をオニモードにスイッチさせ)

しかばした。


自分バリアの 結界けっかい羊水ようすいかり、

そつなくスイスイ演じているしおりにも叱責しっせきびせ、

許容量きょようりょうえのハードルをし、無理()(カミナリ)を落とした⚡

(とつ)イエローがチームの指揮者となって、

 レッド()ブルー()ピンク()

 調和させる引力いんりょく芝居をゴリ押し要求┃

セリフのない演技のみでは

かりに有ったとしても)

実行不能な、

トンでもミッションをせまって来たのだ。

・・汐は目を白黒させ、ぷくーッとフグほほメタモル (○`х´○)


━━ 撮影はNG続出の修羅場しゅらばラ・バンバ。


撮影中断タイム。

猪熊(クマ)監督は3レンジャー’Sをセラピスト・フォロー。

・・各自かくじのストレスをほぐしてあげた。

♤カチコチになったレッドには全身マッサージをほどこし、

が引いたブルーに少量のブランデーを与え、

♡泣きらしたモモには広い胸をして、

「よし、よし」となぐさめてやり、トランキライザーをあたえた。


猪熊(いのくま)の前向きスマイルは、

地獄じごくほとけ 効果をもたらした。


しおりだけは、

猪熊野戦(やせん)病院にけ込むことなく、

お気に入りのミネラルウォーターとフェイスタオルを、

びとの女の子から受け取り、

背もたれにネームの入ったマイ・チェアに腰を落ち着け、

スタイリストやヘアメイクにルックを整えてもらうと、

すみやかに自己の世界へ没入ぼつにゅう

思索しさくきりのなかを彷徨さまよいはじめた/


笹森汐の担当マネージャーは、

その様子ようす

やや離れた地点ちてんから見守っている。

ななマネは、

「(撮影現場って、まるで戦場だわさ)」と

独り言ち(モノローグ)し、

演技についての考察をめぐらせた。

━━

長廻ながまわしは言わずもがな。

CGで上書きするであろう

変テコなマネキン人形を<最強ヴィラン>に見立みたて、

驚き・リアクション・演技をしなければならない三色レンジャー’Sは、

仕事とはいえ大変だ。

んだ撮影はおおむね ここでNG中断される)

なぜなら、

一番うわスベりしやすいがけだから。

 ║プラスして、

  った脚本(ホン)構成により、

  二段(にだん)がまえの驚き(・・)が用意された難所なんしょでもある║

換言かんげんすれば、

ビックリ反応=驚き演技は、

瞬発力に欠ける(農耕(のうこう)民族)日本人の苦手にがて科目。

怒りの激発(げきはつ)シーンとならび、

俳優の持つ ボトム反射 をあらわにしてしまう、泣き弁慶(べんけい)

 ①引き出しにとぼしい愚直ぐちょくなプレイ〈演じ方〉を選ぶか?(新人モード)

 ②驚き感情の中心部に突貫とっかんして、

  火中のくりひろう、疑似(ぎじ)舞台芝居をるか?(演技派スキル)

 ③センスをあやつり、スマートに演じ逃げるか?(器用タイプ)

 ④心臓の〈先天(せんてん)的〉強さに演技を乗っけて表現するか?(例:長瀬智也)

 ⑤まったく別の道を模索もさくするか?


あんじょう

(とつ)ピンクことモモは②を採用して|失敗。

━ レッドも同じく②をセレクト  |はかなった。

(モモ・レッドともに哀しいかな |あまって力()らず)

━ 強心臓には幾分(いくぶん)遠いブルーが④をチョイスしたのは|(ぼん)ミス。


3レンジャー’Sがそろいも揃って、

愚直(ぐちょく)=)①を回避かいひしたのにはプライドを感じた。

とはいえ、

彼らの 驚き芝居 は「しんえ」なかった。

第三者視点からすると、

なんとも「がゆい」レベル。

≡すきま風ピューピュー≡

さむい気分にさせられた。

━ NGやむなし。

(反面・・

 細かくカットを割れば、

 こんな面倒めんどう軽減けいげんできるのに的同情もく※)


いっぽう同じ場面を、

しおりさんが演じると、

迫真性はくしんせいを持つ不思議よ。


 驚き表情(二段構え)

   不協和(ヴォイス)(腹話術の応用)

    仕種しぐさ

     タイミングを

   スピリチュアルでもって融合ゆうごう

━━ ハイパー描出びょうしゅつで繰り出してくるのだ。


見る者を 「ハッ!」とさせ、

感情移入へ「グン!」引きずりこんでしまうhigh(ハイ)パフォーマンス。

<持っていかれる>という表現がピッタリくる。

しかも、

側杖そばづえNGに罹災りさいしても、

同様どうようリアクト(Withアクション)を、

寸分すんぶんたがわず何度(なんど)でも復元ふくげんできてしまえる再現性。


━ マロ&クマ両監督をも瞠目どうもくせしめた妙技みょうぎ


・・才能宇宙の 幽玄ゆうげん をひしひしと感じさせた。

・・努力ではめられない領域である、コレばっかりは。

━━


内界ないかい 探索行たんさくこうを終えた(しおり)はチェアから立ち上がり、

三色レンジャー’Sのところに行き、

()ヂカラめ、提案した。

 レンジャー’Sは ═ なるほど承服(しょうふく)

 迷路めいろからい出せる可能性を示唆しさされた三色は、

 しおり(あん)沿って、

 クッションマットの置いてある所へ行き、

 猪熊(クマ)助監督にアドバイスをあおぎ、

 躍動主観を全開させ、「驚き演技」の練習をスタート。

 難関なんかん突破のかりさえ見つかれば、

 若いエネルギーは弾機(バネ)胎動たいどうするもの。


┃本日何度(なんど)目かわからない、ク〇ッたれ本番スタート!┃

(とつ)レンジャー四人は息を合わせて、

長廻ながまわし撮影の八割はちわりがた

チーム結束力けっそくりょく気合きあいで切り抜け、

残り二割の鬼門きもんへ突入。

地下室に入り、

最強ヴィラン<CG用マネキン>と遭遇そうぐう

一歩(いっぽ) 前に進み出た(しおり)のプロ・リアクトに続き

(ミリ秒遅れで)

後景こうけいの3レンジャー’Sは、

それぞれがド派手にバック宙\犬神家|脚天(あしてん)/して倒れこみ、

表情ではなく 得意とする体技たいぎでもって ビックリ反応を具現化ぐげんかした。

━━ マロ監督は、右のコブシを握りめ、大きくうなずいた。


直後ちょくごに(カット割り無しで)ジョイントされる

ノーマル+スロー撮影をカメラマンがしくじってしまい、

「ワンスモア!」

再撮影を余儀よぎなくされた。


四色レンジャーは、

がっかり顔を見せることなく、

メンタルスイッチを、

次の本番へ向けてサッと切り替えた。


爾後じご、リテイクを三回を重ねた。

マロ監督から会心(かいしん)nearの「アクセプト(=OK)!」が出たのは、

日付変更線をまたぐ直前であった。


その瞬間、

(とつ)レンジャーフォーは

熱きスクラムハグをわし、

ぴょんぴょんね回り、

天井てんじょうを向き、ありったけの勝鬨かちどきとどろかせた。

━━「ざまあマロ !!!!」


早朝に始まり・・

トータルおよそ19時間の撮影〈重労働〉は終了した。


「終電にはとても間に合わないので、休憩室で翌日まで待機たいきする」と、

レンジャーズの三色諸君しょくんは、あきらめ顔で言った。

《 新人にはお車代など支給されないンである。

  ただし 早出撮影のときにかぎペイ(pay)されるという、

  行きはよいよい♪の「(とお)りゃんせ」待遇(たいぐう)

汐と違い ━ マネージャー・付き人などのサポーターもなかった。


それを聞きつけた七尾ななおは、

タレントの了承りょうしょうを取り付けると、

レンジャーズをせ、

キャンピングカーに彼らを同乗させた。

・・「深いリラックスは自分の部屋でなければられない」という、

七尾マネ自身の経験知(けいけんち)もとづく、フレキシブルな対応であった。


笹森専用の付き人やヘアメイクは、

いつものようにスタイリストの車に同乗。帰還きかんした。


そもそも・・

撮影は遅くとも、

キャストスタッフが終電に間に合う時間帯にバラす決まりだ。

やむをえず・・

夜間/深夜撮影/ に突入するときは、

超過手当/夜食/仮眠場所/ 諸々(もろもろ)

ケアしなければならないと、契約けいやくに、うたわれていた。


しかしマロ監督にとって、

そんな約束事は有名無実の空文くうぶんに過ぎない。

特待(とくたい)番組『(とつ)レンジャー』の潤沢(じゅんたく)な制作費は、

  撮影日数オーバーやったCG処理により、

  刻々(こくこく)赤字ラインへ近づいていた。


局P〈制作費の管理者〉は、

こっそり、

スタジオのすみに三色を呼び寄せ、

疲れ休めとして黄色パッケージに入ったキャラメル(12粒入り)をひと箱ずつと、

身銭みぜにを切り、

「夜食代だよ。また明日も頼むな」と言って

(お車代よりは安上がりな)千円を各自かくじに手渡し、

それぞれの肩を(たた)いてはげました。


━ 帰路へ向かいエンジン・スタートさせる七尾マネ。

 その瞬間(とき)ブルーは顔面蒼白(そうはく)になり、

 頓狂とんきょうな声を上げた。

 「いっけねェ!忘れ物・・」

 ドライバーと同乗者にびを入れ、

 スタジオまで、一目散いちもくさん、走っていった。

┅┅ エンジンストップ。


照明が落とされ、

シンと静まり返ったスタジオ内。

自分専用チェアに置き忘れた<大事な脚本(ホン)>を手に取ったブルーは、

ふと人の気配を感じて、そちらへ顔を向けた。

視線は ━

ディレクターズチェアに身体を沈め、

物想ものおもいにふけっている南禅寺なんぜんじ監督の姿を

━ キャッチした。

仕事とは別種の苦悩(くのう)(であること)をブルーはぎ取った。

マロのなやみがなんであるか?さっするすべは無い。

∥同時並行へいこうで∥ 聴覚ちょうかく異常におそわれた。

森永のCMフレーズ=【()ファ()()()♪】音符おんぷが、

ブルーの脳内で跳梁ちょうりょうした。

「ヤべぇ、サインだ!」

疲労ひろうの危険水域(すいいき)を知らせる、SOS幻聴げんちょうに違いない。

 物想ものおもいに深く沈んだマロ監督へ、

 声をけられる雰囲気(フンイキ)ではまったくなかったので、

 やむなく、あいさつを割愛かつあい

そそくさとブルーはスタジオから退散たいさんした。


七尾ななおマネの運転する

移動控室(ひかえしつ)=小型キャンピングカーは、

どろ放心状態の~(とつ)レッド・ブルー・ピンクを、

各自かくじの住まいまで送り届けた。

━〇━


❚日付変更線を大幅おおはばまたいだ深夜帯しんやたい

ドライバーの ななマネは、

リアミラーしにタレントのようすをうかがう。

後部座席でトロンとしているしおり戦士は、

・・夢うつつかん往復おうふくstateしていた。




※ カット割りとは?

表情・アクションのムダをつまみ(=切り捨て)、

残った良い部分を効率よくつないでいく、

いわば「()いとこどり」作業であります。

逆に、

長廻ながまわし撮影は、

映像表現の最大の美点<モンタージュ>を放棄ほうきする手法。

ただし、緊張感みなぎる芝居場を丸ごとつむぎだせる、

・・舞台劇に近い様式である。


黒澤明は、

複数カメラを駆使して、

双方そうほう(長廻し&モンタージュ)を、

統合とうごうさせるユニークな実験を行い、成果を上げた。


   

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