カオス突入
夏の 蔵出し 第二弾。
暑さに負けず、お読みくだされ!
(作中の季節は冬なので暑気払いにはなるかもね)
師走に入り、
寒さも本格化、
そろそろ忘年会の季節であります。
和食ダイニングや居酒屋に集い、
湯気の ほんわか立つ 鍋なんぞを囲み♨
お好みのツマミ(刺身・やきとり・揚げ物・サラダ etc)を食し、
百薬の長たるアルコールが回り、
❀会話の花が咲けば❀
浮世のささくれも癒えるというもの。
・・まあ、メンツにもよりますけどねェ。
❚日付変更線を大幅に跨いだ深夜帯❚
移動控室である、
小型のキャンピングカーを走らせている七尾マネージャーは、
リア・ミラー越しにタレントのようすを窺う。
後部座席でトロンとしているソルジャー汐は
・・夢うつつ間を、往復state。
━ 今日(正確には昨日)の撮影は ━
担当がメインの南禅寺監督という闇夜の針。
並ではない消耗度・・疲弊を余儀なくされた。
━〇━
早朝から、
四色レンジャー勢ぞろいしての、
マロ監督による、
『黒い罠(58)』冒頭シーンさながらの、
<十分を超える大掛かりな長回し撮影>は楽であろうはずもなく。
過去:二時間サスペンス『お手伝いさんは見た!』や、
マロの特異演出回に於いて、
トレーニング済みのイエロー汐は、まぁ別として、
ロング・ワンシーンワンカット初体験の3レンジャー’Sは悲鳴を上げていた!
┃長廻しにおける演技とは、
極限の緊張が果てしなく続く苦行。
NG一発で、「撮済み」すべてがおじゃんになるので
演じる側のプレッシャーは墓石のごとく重い。
・・ゆえに「OK」が出たときの達成感はハンパない┃
マロのことであるからして、
据えっぱなしのワンカット(これはこれで大変である)
なんぞという生易しい代物ではなく、
つねにムーヴし続けるカメラに合わせた芝居を強要してくる。
┅┅┅
確度の高い情報を得た本部の指令により・・
四色全員 が、
民家を擬した建物に入り、
一階から二階へ上がっていき、
ふたたび降りてきて、さらに 地下へと移動。
凸ブルーの開発した生体探知機に
反応を示した室内へ、意を決して侵入。
そこで、
ついに、
地球侵略を図る ダークマター組織 の切り札
\最強ヴィラン/と遭遇を果たす┃
という、
やるせないほど 息の長いワンカット。
┅┅┅
しかも各自、
目力芝居&所作と、
状況説明台詞をひそひそ声にて、
マルチタスクさせなければならない。
断るまでもなく ━ シンクロ〈同時録音〉だ。
それだけでも充分大変なのに、
ダメ押しといえる「E難度撮影」が控えし候。
┃長廻し場面の決めを、
《ノーマルからスローに変化させる、
『エルム街の悪夢(84)』の縄とびシーンを
反転させたテクニックで、締めくくる》┃
冒険プランをマロは厳達した。
当然カット割りは一切行なわれない。
長廻しのあと、当該場面を、シームレスに結着させる。
後者は・・キャストよりも技術スタッフに重圧を強いるプロブレム。
テクニックの追及に関して、南禅寺は、おそろしく貪欲であった。
▶某映画でゲッコー氏が吐く名台詞
「Greed is good!(貪欲は正義なり)」は
・・マロ、大のお気に入り v(^-^)v ◀
以上のようなW実験撮影方法を採れば、
照明係には、
精確・繊細な光の加減を要求、必定。
カメラマンには
金庫の鍵ダイヤルみたいなフォーカス合わせに
悪戦苦闘を強いる、狂気の沙汰。
(マラソン競技の直後、
数学コンクールの決勝戦に挑む類のイレギュラー)。
時間超過の懸念と
新人俳優たちのスキル不足〈+闇落ち〉を危惧した局Pの猛反対を ━
━ マロは一蹴!
「最重要シーンであるから、
送り手とオーディエンス〈視聴者〉双方に
緊張感を持続させる方策として、
絶大な効果を発揮する
|ワンカット撮影|を断固採用します」
━ 毅然たる態度で宣言した。
せめてもの保険として局Pは、
「猪熊を監督補佐に付ける」
という付帯条件を出し、マロに呑ませた。
・「これ以上、南禅寺をのさばらせて、たまるか!」・
弱腰と陰口を叩かれている局P、虚仮の一念であった。
敢えて 、
長廻しという難関な撮影体制を敷いた理由は、
ケミカル・チェンジを起こしたいという思慮がマロにあったからだ。
(ワンカット内で、
ノーマルからスローへ変化させる
手ごわい撮影に関しては、99・9%趣味である)
きっかけは、
先日の出来事であった。
凸レッド・ブルー・ピンクの三人がシーン終了直後、
マロ監督からの「OK」が出たにもかかわらず、
━━ 「もう一度、演らせて下さい!」
と三声を揃えて言ってきたのである。
━━「!?」
マロの鋭い顔に付いている鋭い二つの眼は、
三色レンジャーをギロリと睨みつけた。
すると、
今までなら竦み上がっていた
レンジャーたちが睨み返してきたのだ。
・・固唾を呑むスタッフたち。
ただでさえスケジュール超過している最中、
たかが新人’Sのちょこざいな態度・物言いに、
雷を落としてもいいシチュエーションではあった⚡
意外にも
マロは
グッと堪え、
不敵な笑みを浮かべてみせた。
━━「よろしい、もう一度、行ってみよう」
・・ホッと息をつくスタッフたち。
リテイクの上がりは、
前テイクより
ちょっぴりマシな程度に過ぎなかった。
とはいえ、カタツムリ進化は認められたので、良しとした。
3レンジャー’Sの得意そうな顔を見て・・マロは内心、苦笑した。
║南禅寺は自問自答する║
━ 自己主張・自惚れは、俳優にとって「必要悪」である。
━ だいぶ撮影段取りに慣れてきたようだ。
猪熊の様式放棄的な「芝居に特化した」演出メソッドや、
汐坊の天性アクトが彼らに好影響を及ぼしたのだろう。
━ しかしながら、まだまだバランスに欠ける。
三色とイエロー汐では力量に差がありすぎる。
歯車の回りをもう少しスムースにできないものか?
━ かてて加えて、要注意扱いの・・笹森汐(=超人ハルク)という存在。
そこで・・
導き出されたのが、長廻しである。
三色’Sを激しく責め立て、
手ごわき一色(=イエロー)の義侠心を誘起する。
━ 難行の渦中に放り込んじまえば、
擦り合わせ修正は、自ずとなされるていくあろう。
・・「正真正銘の
カルテット(四色融合)に近づいてくれたまえよ!」




