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〜勉強会〜

「映画デートどうだったー??」


モモハが尋ねる。


「…趣味合わない。怖い。誠也がホラーだった。」


「えっとーよく分かりませんが、とにかく良くはなかったんですかね??」


「…うん。誠也とは今後一生映画デートには行かない。」


「アラアラ。エマちゃんたらどうしちゃったの?w」


友人の(シズク)がエマの左隣の机に腰掛ける。

勝手に座られた男子は不満そうな声をあげる。


「ここ、俺の席なんですけど。どいてくれ、邪魔だ」


とげとげしく言い、迷惑そうな顔をする。


「何よ。ただのオタクのくせに生意気すぎる。」


雫が負けじと睨み返す。エマがため息をついて二人をとりなす。


「雫、悠飛(ゆうひ)とケンカしないの。悠飛、ごめん少しだけ我慢してくれる??」


それでもなお、悠飛と雫は不満気だったがお互いを無視することに決めたようだ。悠飛も黙ってスマホを弄り始めた。

浜田悠飛。重度のオタクであり、「スクールカースト」なるものの最下位に属する。同じオタクにも友人がいない。だが、本人はぼっちであることを気にしているどころか、自由気楽に学校生活を送っている。

そんな彼はエマの隣の席。席替えの時彼がエマの隣になった事がわかった瞬間、みんなの(大半は男子)射殺しそうな視線をものともせずにいた、なかなかの猛者でもある。 みんなの顔にははっきりとこう書いてあった。(なんでこいつが彼女の隣なんだ。)と。

 彼がメガネをクイッと人差し指で押し上げる。これは彼の癖だということを隣のエマは今は知っている。


「あ!じゃさじゃさ!勉強会をやるってのは?」


友人である絵凪(えな)が顔を輝かせて言う。


「それイイじゃん!!もうすぐ中間テストだもんね!谷口も堂々と誘えるし。」


友人達が口々に言う。


「ほんと!絵凪天才!大好き!」


絵凪に抱きつく。


「他の人も誘っちゃう?大勢の方が楽しいし!」


「いいねいいね!」


ちょうど盛り上がった時に惜しくもチャイムがなった..




           ⭐︎⭐︎⭐︎



 「やっほー!お、結構集まってきたね。」


雫が部屋に入ると、そこに一人だけ浮いている人物が目に止まる。


「なんであんたがいんのよ??」


露骨に嫌そうな顔をする。視線の先には、浜田悠飛がいた。彼も嬉しくはなさそうだ。悠飛はスッと立ち上がった。


「…やっぱり帰る」


気づいたエマが慌てて彼の袖を掴む。が、かわされたので、立ち上がって行く方を阻む。


「ダメだよ、悠飛。参加するって言ったじゃない。」


「…言ってないし。」ボソリと呟く。


ドカリと床に座りあぐらをかいた雫が呆れた声で言う。


「そいつのことなんか、ほっときなよ。どうせいたって空気悪くするだけだし」


エマに睨まれ、プイッと顔をそらす。


「ね、行かないでよ。悠飛歴史だけは得意なんだから教えて欲しいし。」


彼の手を掴んで、行かせないというように力を込める。彼が黙ってその手を見る。数秒が過ぎた。


「なんか余計な言葉が聞こえたような気がするが」


そう言ってしぶしぶといったように座り込む。

エマがニコッと笑う。


「えー、それ気のせい気のせい。」


そうするうちにあっという間に呼んだメンバーが集まり、勉強会はスタートした。


「…ここはこうで、あっここんとこはこうなる。」


「ほうほう。へーそうなるのね。」


エマは適当に相槌を打ち、ポテチの袋をパリッと開ける。もう既に目が死んでいた。脳みそも。


「もう疲れたぁー。」


ポテチを口に放り込みながら、自分に熱心に教えていたクラスメイトをチラリと見る。田崎陽。彼は明るくお調子者で男女問わず人気がある。


「なんか陽って意外と熱心だね。陽こんなキャラだっけ?」


彼が照れたように鼻の頭をこする。


「何だよ意外とって。ってかそれポテチ二袋目だろ?それにさっきもあんぱん食べてたし。」


「そだけど?」


「エマって意外と食いしん坊なんだなー」


怒ったふりをしてポカポカ頭を叩く。


「勉強のしすぎで脳が糖分を求めてるんだって。」


「あのーオネェサン、今まだ4問しか解いてないでしょ?」


「えー何のことかわかんないなぁ。」


エマが分かりやすく頭を逸らす。

絵凪が笑って言った。


「はいはい、頭の良い優等生エマさん、ここんとこ解説してくだせぇーww」


「えー、褒めてもポテチのコンソメしか出てこねぇぞー??」


「出てくるんかい!!」


みんなが笑う。


しばらくするとみんなは集中して勉強し始めた。カリカリとシャーペンの音、パラパラとページをめくる音に意識して聞く。モモハが声を出さずに伸びをする。

誠也が参考書を読む。悠飛は歴史の教科書を読み耽る。クラスメイトの沙良は考えながらシャーペンのノックをカツカツとならす。そしてエマは…組んだ腕の上に顎を乗せ、すーぴーすーぴーと気持ち良さそうに寝ていた。周りの友人達がエマを見て苦笑いをする。

見られているとは知らずに、エマが寝言をもらす。


「だめ…九州醤油はあげない…コンソメなら…むにゃむにゃ…」


誠也が呆れたように見て微かに笑う。


「どんな夢見てんだよ。」


そのまましばらく愛おしそうに寝顔を眺める。多分本人は「愛おしそうに」見ているとは思ってはないが。

それをニヤニヤとエマの友人達が見て、更に、暗い顔で男子達が見る。そんな歪な景観を作っている張本人

は未だにスヤスヤと寝ていた。


















面白いな、続きが読みたいなと思った方はブクマ、評価などよろしくお願いします

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