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〜映画デート⓶〜

(どうしよどうしよ。今声かけたら絶対勘違いされる)


様子のおかしいエマを見て悠飛が眉をひそめる。そして彼女の視線の先にいる人物を見て顔をしかめた。エマは焦っているのでそれに気づかない。

悠飛が少し腰を浮かせる。顔を少しだけエマに近づけて近距離で話そうとした。話題を振るが彼女は上の空という感じだ。全くもって話がはずまない。 悠飛としては仲の良いところを()に見せつけてやりたいのだが。

 注文したものが運ばれてくると、エマは誠也のことも忘れ、目を輝かせた。そんな彼女を見て悠飛も口元を緩める。


 二人は早速食べ始めたが、悠飛はひどく落ち着かなかった。 周りの人の視線を集めているからだ。なぜ集めているかはご察しのとおり。彼の目の前には絶世の美女がいる。

エマと出かけるのは初めてなのでこういう事には全然慣れていないのである。当の本人は幸せそうにパフェを食べているのだが。彼は食べるどころではなかった。


結局誠也に声をかけられることはなく、二人は満腹でファミレスを出た。


「ふぁー美味しかった〜。悠飛、今日は誘ってくれてありがとう。楽しかったよ!!」


満面の笑みで悠飛の方を振り向く。悠飛が頭をかいて照れ臭そうに言った。


「いや、俺も楽しかった。」


「なんか今日はちょっと雰囲気違うよね、悠飛。」


それは彼がオタクっぽさをがんばって消しているからだ。彼女に少しでもふさわしくなれるよう、脱オタクを目指しているのである。

もちろん彼はそんなことは口に出さず、ただ曖昧に笑っておくだけにとどめた。

 

「じゃ、また遊ぼうね。バイバーイ!」


エマは友人たちにするみたいに軽くハグをして帰ろうとした。のだが、離れられない。恋愛的な意味ではなく、悠飛が彼女を離そうとしないのだ。彼の腕の中で暴れるが、抜け出せない。

 急に意識してしまって顔が少し熱くなる。


(どうしたのかな、、、。最近悠飛、変だけど、、、何かあったのかな。)


彼の努力と気持ちがエマに届くのはまだまだ先かもしれない。彼は、これで頑張って気持ちを伝えようとしているのだが。


「……。」


周りの視線が生暖かい。若いカップルと見なされ、生ぬるい目で見守られている。悠飛もエマもそれを感じてはいるのだが、抱擁を解くタイミングを失ったため、離れようにもなかなかお互い離れられなくなっている。

悠飛の顔は真っ赤になっていた。


((…消えたい。))







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