〜好きな人と好きな人〜雫視点
〜雫視点〜
私はスマホを見ながらずっとソワソワしていた。ある人からの返信をずっと待っているのだ。ピコン。ふいにスマホが可愛いらしい音と共に震えた。画面を食い入るように見る。
「デートに誘えた。今日映画を一緒に見る予定。」
簡潔な、どこかそっけない言葉。私はホッとしながらも少し、寂しさを感じた。
昨日、浜田を残して空っぽの教室を出たあと、すぐに大きな罪悪感と惨めさに襲われた。浜田にちゃんと謝りたかったけどプライドのせいかどうしても引き返せない。結局そのままエマのとこに行った。家に着いてからもその暗い感情は拭えなかった。だけど、ふいにLINEで伝える事を思いついた。
浜田に謝罪したあと、何を言えばイイか迷った。もともとは大好きなエマの恋を応援するため、だった。
だけど、同じくらいの「好き」を感じる浜田も応援したい。好きな人の好きな人。二人とも私は好きで、片方は応援する事に苦痛すら感じる。だけど、やっぱり好きな人には幸せになってほしい、そう思う事が正解だよね??
私は、ずるい女だ。応援するとか言いながら、本当はその恋は叶わなかったらいいって。早くエマと谷口がくっつけば浜田も諦めるかもしれないって。そう思う私は最低なやつだ。だけどそれを好きな人に知られたくてなくて応援する、とか言おうとしている。
数十分の間、悶々と悩み、ついに彼にLINEを送った。
「最近、エマは谷口と話したりしていないよ。だから今がチャンスだと思う。エマはああ見えて実は男子にグイグイ来てほしい子だから。」
息を止めて、返信を待つ。ピコン。
「なんで急に。さっきまで邪魔するなと言ってたのに」
「うん。いくら親友のためでも人の恋愛とかに首突っ込みつぎたり人の気持ちをどうこうしようっていうのはいけないって気づいたから、、、。お詫びみたいな感じかな。
だから、、、エマをデートに誘いなよ。」
「…デートって何のデートに??」
「映画がいいと思う。アオハルとか恋愛系がいいな。そっちの方が見てる方もドキドキするし。吊り橋効果って言うじゃん??」
そうやって浜田にアドバイスをしながら、恋愛テクやデート内容などを相談した。内容が内容でも、好きな人と繋がっていられるのは、話せるのは嬉しい事。そう思おうとしなから、込み上げてくる嫉妬や悲しさ、虚しさといった暗い感情を必死に抑えた。
「…誘えたのか。よかった、上手くいって。」
そう呟く。しわのよったパジャマを見下ろし、洗面所に向かう。
洗面所の鏡を覗くとそこには、ボサボサの長い髪、昨夜泣き腫らしたせいで腫れている赤い目、その目の下に浮かぶ濃いクマ、などあまり気分の良さそうな感じではない顔がうつっていた。
不安げな表情をしている鏡の自分に向かって言う。
「自分で応援するって決めたんだから情けない顔しないで。」
頬を叩いて気合いを入れ、身支度をした。




