表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/18

〜本当の気持ち〜

最近みんながおかしい。雫はちょっと落ち込んでるっぽいし、悠飛は私と話してくれないし避けてるみたいだ。モモハは、私が聞くとすぐにおろおろしてなのに教えてくれない。他の友人達は何か変だって事には気づいてるけど何でかはわかんないみたい。それに誠也とはあの勉強会以来話してない。


帰りの会が終わり、気が重いままカバンを持って、友人達を目で探す。そして違和感を感じる。雫もモモハがいない。トイレだったら一言いつも声かけるのに。キョロキョロしてると、絵凪に尋ねられる。


「どしたん?エマ」


「あ、モモハ達知らない?」


「あぁ、モモハと雫?二人なら音楽室の方に行ってたよ」


そんなとこになんの用があるんだろう?


「ありがとう絵凪」


笑顔でお礼を言って、カバンを持ったまま教室を飛び出す。音楽室の前まで来て、ドアを開けようとする。

その時、暗い声が聞こえた。


「違ったらごめんね、モモハ。もしかして谷口くんのこと好きなの??」


硬直する。息が一瞬止まった。谷口って誠也のこと?

ドアを開けようとした手を止め、耳を澄ませる。よくないとわかっていながらも聞きたかった。


「…違うよ。雫ちゃんなんでそう思うの?」


あまりにも弱々しいモモハの声。


「…分かるよ。何でモモハが隠してたかくらい。誰にも言わないから安心して。」


手が震える。叫びそうになるのを必死にこらえる。

モモハのすすり泣きが聞こえた。隙間から、モモハがうずくまって顔を伏せて泣いてるのが見える。

こちらに背を向けて立っている雫の表情は見えない。

そのまま、永遠にも感じられる数分が過ぎた。


(ごめん。モモハ。私のせいで、我慢させてきて。ごめん…!!!)


友人に申し訳ないような事を思いながらも、でも、、。彼を好きになったのが、自分に遠慮してくれる優しい彼女だと言う事にどこか安心感を覚える自分が、確かにいる。 そんな自分に激しい嫌悪感を感じながらも、中の会話に耳をすませる。


「好きにならなきゃよかった…!私、私、たまにエマちゃんが憎く思えるの。で、でも私がこんな最低だって事も知られたくなくていつもニコニコしてて、エマちゃんを応援するふりして。私、最低だ…!!!」


エマも音も立てずに崩れ落ちた。口元を手でおおう。


(ごめん。ごめんごめんごめんごめんごめん。)

優しすぎるくらいに優しい友人に対して、申し訳なさと、罪悪感と、どうしようもないほどの悲しさが、エマの胸の中で暴れる。


好きにならなかったら…こんなことは起きなかった。

好きにならなかったら、モモハにも我慢させなくてよかったのに。

その時、雫がポツリと呟く。


「ここからは私の独り言だから。

…私、好きな人がいるの。最近、自分でも気づいたばっかで。だけど、その人は別の女の子しか見えてない。自分の気持ちに気付きたくなくて、ずっと自分にも誤魔化してきたんだと思う。怖くて。自分から逃げてた。だけど、私が自分の気持ちにも気づかないふりをしたら、その気持ちは消えるんじゃなくて、ただ心の中に溜まっていくだけだって分かったの。叶わなくても、誰にも伝えられなくてもせめて私が自分の気持ちを大切にしてあげなきゃって。

…偉そうな事言ってごめんね。だけど、難しいと思うけど、モモハも自分の気持ちは大切にしてあげなきゃ。」


視界がぼやける。そうか、私はモモハだけでなく、雫の気持ちもつぶしちゃってたんだ。私は一体どれだけの人の想いを潰してきたんだろう。自分の恋愛だけにしか興味もなくて、人の事を全然思いやれていなかった。大切な友人達がこんなにも悩んでたことにも。

力が抜けた手からカバンがドサリと落ちる。


「…なんか今音した?」


カバンを拾い上げ、急いで廊下を走り抜ける。教室に着くと、息を切らしながらドアを開けた。クラスメイト達はいなかった。ただ一人をのぞいて帰ったようだ。 


顔を俯けて泣き顔を見られないようにしながら、悠飛に言った。


「まだ帰ってなかったんだ。誰か待ってるの?」


微かに声が震えているのに気づいたのか、悠飛が眉をひそめたような気がした。前髪で見えないけど。


「…どうしたの?」


ここ最近、全然話してくれなかったくせに。今だけ話しかけるの?心配してくれているのは分かるのに、つい跳ね除けるように言ってしまう。


「関係ないでしょ。早く帰んなよ。もう遅いよ?」


いつのまにか目の前に悠飛が立っていた。


「…関係なくないけど。」


目の前に差し出されたハンカチと赤面した彼の顔を交互に見つめる。


「…ありがとう」


「…」


「悠飛って優しいよね。ありがと。ハンカチは洗って返すね」


泣いてる事に気づかれた恥ずかしさから、つい早口になる。

バイバイと手をふってカバンを持って教室を出ようとする。すると、グイッと後ろに引っ張られた。バランスを崩して…


「わっ」


ボンっ。この感覚は…な、に..??

(え、まさか、抱きしめられている??ええぇっ!)


心臓がうるさい。チラリと自分の体に回されている腕を見る。思ったより、逞しくて力強くて、やっぱり男の子なんだなって思う。 そして自分がたった今考えたことに気づき、羞恥心に襲われる。でも、何より…


(何なのこの状況は!?! え、悠飛ってこんなことする人だったっけ!?! )


「あ、えっと、ゆ、悠飛、ど、どしたの??」


言葉がどもってしまう。カァッと顔が熱くなる。


「…ごめん。何でもない。」


いやいや今のは何でもなくないと思うんだけどぉっ!てか何、急にキャラ変わってんやねぇかい!!!心の中で盛大に突っ込んでしまった。

やっと解放されて、少しほっとする。…これからしばらくは彼のことを意識してしまうだろう…。


「…やだ、忘れたい。」


思わずポロリと言ってしまう。慌てて口を閉じるが、時すでに遅し。やばい、恥ずかしい。


「じゃ、じゃあ!またね!!バイバイ!!」


引きつった笑みを浮かべ、手を振って教室を飛び出る。心臓ががバクバクうるさい。何で悠飛は急にあんなことしたんだろう。心臓のうるさいバクバクとモヤモヤと、消えたくなるほどの羞恥心を胸にかかえたまま、私は人気のない校舎の中を走り抜けていった。









最後までお読みいただきありがとうございます。これからも美女甘びじょあまをよろしくお願いします。m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ