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第84話 記録板の夜
現実世界。
深夜。
『忘れないための記録板』
今日もゆっくり流れている。
誰かが夢を書き。
誰かが仕事帰りを報告し。
誰かが名前を書いていた。
久世 恒一が画面を見る。
新しい投稿。
『今日、黒い駅また見た』
返信。
『最近増えてる』
『でも近づいてこない』
『記録しろ』
恐怖だけではない。
最近は、生活も混ざり始めていた。
『朝コンビニ寄った』
『神社帰り少し寝れた』
『今日は仕事行けた』
静かな共有。
その時。
画面端が少し黒く揺れる。
沈黙。
誰かが書く。
『確認』
別の誰か。
『私は○○』
久世もノートへ書く。
『久世 恒一』
『記録者』
黒揺れが少し薄くなる。
数秒。
消える。
誰かが小さく投稿した。
『今日も終わったな』
返答。
『まだ朝来る』
深夜。
静かな画面。
世界は今日も、大きく壊れなかった。
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