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第83話 補給路の昼

北欧世界。


補給路。


昼。


荷車がゆっくり進んでいる。


石板。


神名刻印。


簡易護符。


全部、地味な荷物。


それでも。


最近、一番必要なものだった。


神兵達が歩く。


空は曇り。


遠くに黒海。


近くない。


だが。


忘れられない距離。


その時。


道脇の霧が少し揺れる。


沈黙。


全員が止まる。


隊長が静かに言う。


「確認」


「北欧神話軍」


「補給隊」


「トール様」


声が重なる。


霧は揺れたまま。


それ以上近づかない。


荷車の木音だけが響く。


神兵の若者が小さく笑う。


「最近、止まる時間増えましたね」


隊長が前を見る。


「急ぐと壊れる」


短い返答。


荷車がまた動き始める。


小さい歩み。


それでも。


止まってはいなかった。


(次話へ)


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