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■ 第66話 「記録板の新人」

現実世界。


深夜。


『忘れないための記録板』


今日も静かに流れていた。


以前より利用者は増えている。


だが。


まだ小規模。


閉鎖的。


だからこそ、空気が安定していた。


新規投稿が現れる。


『初めまして』


『最近、黒い夢を見るようになりました』


久世 恒一が画面を見る。


新人。


最近は珍しくない。


すぐ返信がつく。


『まず名前書け』


『日付も』


『焦るな』


『一人じゃない』


掲示板の空気は変わっていた。


恐怖共有ではなく。


“対処共有”。


新人が返信する。


『ありがとうございます』


『本当に怖くて』


その時。


別の利用者が書き込む。


『怖いのは普通』


『でも記録すると少し楽になる』


久世は小さく頷く。


最初の頃は違った。


混乱。


恐怖。


絶望。


今は、“長く付き合う方法”を探している。


その時。


画面端が少し黒く揺れる。


沈黙。


だが。


誰も慌てない。


利用者達が順番に書き込む。


『確認』


『私は○○』


『記録継続』


黒揺れが少し薄くなる。


新人が驚いたように書き込む。


『本当に薄くなった……』


久世が返信する。


『慣れるな』


『でも、忘れるな』


静かな掲示板だった。


――観測記録


観測層:第3層

対象:現実世界


状態:人類側共有安定段階


更新:

新規記録者流入を確認


変化:

対処共有定着傾向


評価:

人類側精神安定率 微上昇


補足:

記録板が局地共同体化している可能性あり


追加記録:

新人適応反応を確認


結論:

人類側長期適応 継続中


(次話へ)


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