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■ 第63話 「エジプト側の封鎖線」

エジプト世界。


黒化ナイル沿岸。


簡易封鎖線が広がっていた。


石柱。


刻印。


神名。


全部、最近追加されたもの。


トートが記録板を確認している。


セトは退屈そうに周囲を見る。


「最近、静かだな」


トートは頷く。


「侵食反応は減っています」


「完全停止ではありませんが」


セトが石柱を軽く叩く。


「こんなんで本当に効くのか?」


「効いています」


短い返答。


実際。


封鎖線内部の侵食濃度は低下していた。


小さい。


それでも確実な差。


その時。


ナイルが少し揺れる。


全員が止まる。


沈黙。


黒い手が、水面から少しだけ出る。


だが。


封鎖線を越えない。


数秒。


そして。


静かに沈む。


セトが目を細める。


「……止まったな」


トートが記録板へ書き込む。


『封鎖線接触』


『突破なし』


最近はこれが増えていた。


小規模接触。


観察。


距離確認。


大規模侵攻ではない。


その時。


空が黒く揺れる。


観測層。


Archive。


静かにこちらを見ている。


セトが空を睨む。


「お前、本当に何なんだよ」


返答はない。


ただ。


静かな視線だけが残っていた。


――観測記録


観測層:第3層

対象:エジプト世界


状態:局地封鎖維持段階


更新:

封鎖線接触反応を確認


変化:

侵食突破行動 減少傾向


評価:

封鎖効果 継続中


補足:

侵食側は現在観察傾向を維持


追加記録:

黒手接触反応を確認


結論:

エジプト側局地安定 継続中


(次話へ)


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