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■ 第62話 「夢の記録会」

現実世界。


深夜。


『忘れないための記録板』


最近、新しい流れができていた。


“夢記録”。


見た夢を残す。


小さい情報でも書く。


久世 恒一が画面を見る。


新規投稿。


『森の夢』


『黒い駅』


『目は見えなかった』


以前は海ばかりだった。


最近は違う。


夢の種類が増えている。


その時。


雨宮 美咲の投稿が流れる。


『今日は神社の夢だった』


『黒い海が来なかった』


返信が増える。


『自分も』


『最近少し軽い』


『神社行った日だけマシ』


久世はメモを取る。


最近、掲示板は“恐怖共有”だけではなくなっていた。


観測。


比較。


検証。


小さい研究会のようになり始めている。


その時。


画面端が黒く揺れる。


沈黙。


だが。


以前より弱い。


久世が書き込む。


『確認』


『黒揺れ 弱』


他の利用者も続く。


『確認』


『位置変化なし』


『今日は距離遠い』


侵食を、“観測対象”として扱い始めていた。


久世は小さく息を吐く。


「慣れって怖ぇな……」


本来なら恐怖のはず。


だが。


記録し続けることで、少しずつ輪郭が変わっている。


その時。


新しい投稿。


『最近、黒い夢より“誰かに見られてるだけ”が増えた』


空気が少し止まる。


久世は画面を見る。


最近、本当にそうだった。


侵食は続いている。


だが。


以前ほど直接来ない。


まるで。


“距離を測っている”。


――観測記録


観測層:第3層

対象:現実世界


状態:夢記録共有段階


更新:

夢内容多様化を確認


変化:

侵食圧迫感 微低下


評価:

人類側観測精度 向上中


補足:

夢記録共有が精神安定へ寄与している可能性あり


追加記録:

侵食側観察傾向 継続確認


結論:

人類側長期適応段階へ移行中


(次話へ)


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