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■ 第54話 「忘れない訓練」

北欧世界。


小規模駐屯地。


最近、新しい日課ができていた。


朝。


昼。


夜。


定期的な神名確認。


そして。


“自己確認”。


神兵達が並んでいる。


一人ずつ前へ出る。


「名前」


隊長が問う。


神兵が答える。


「エイリーク」


「役割」


「沿岸監視兵」


「所属」


「北欧神話軍」


確認。


記録。


最近では、戦闘訓練より重要視されていた。


トールがそれを見ている。


隣にはロキの記録体。


ロキが苦笑する。


「軍隊ってより病院だな」


トールは腕を組む。


「忘れるよりマシだ」


神兵の一人が頭を掻く。


「最初は変な感じでしたけど」


「最近、やらないと落ち着かなくて」


ロキが笑う。


「固定されてる証拠だろ」


その時。


遠くの空が黒く揺れる。


全員が止まる。


だが。


侵食は来ない。


最近はこれが多い。


見るだけ。


観察だけ。


トールが空を見る。


「……距離を測ってるな」


ロキも空を見る。


「こっちも測ってるけどな」


最近、北欧側では“侵食発生時間”の記録が始まっていた。


どの時間帯に強いか。


どの地域で出やすいか。


完全対策ではない。


だが。


“小さな情報”が増えている。


神兵の一人が記録板を閉じる。


「今日、侵食少ないですね」


トールは海を見る。


黒い。


それでも。


以前より静かだった。


――観測記録


観測層:第3層

対象:北欧世界


状態:存在固定訓練段階


更新:

自己確認訓練継続を確認


変化:

神兵精神安定率 微上昇


評価:

長期抵抗体制 形成中


補足:

侵食発生周期観測が開始されている


追加記録:

局所侵食静観反応を確認


結論:

北欧側防衛構造 安定化傾向


(次話へ)


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