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■ 第4話 「最初の抵抗」

異変に気づいたのは、雷だった。


空が割れる前に、違和感は走っている。

本来あり得ない方向から、力が侵入してきた。


それは自然現象ではない。


明確な“意志”を持った干渉だった。


ゼウス


「止まれ」


低く告げる。


次の瞬間、雷が落ちた。


裂け目の先に向かって、一直線に叩き込まれる。

境界を越えた攻撃は、本来なら減衰するはずだった。


だが今回は違う。


雷は減速せず、そのまま突き抜けた。


「……来ているな」


ゼウスの視線が鋭くなる。


周囲にいる神々も異変を感じ取っていた。


海が揺れる。

風が乱れる。

大地が不自然に軋む。


ポセイドン


「これは自然じゃねえ」


苛立ち混じりに吐き捨てる。


アテナ


「侵入です」


即答だった。


迷いはない。


「しかも単発ではない」


アテナは空間の歪みを見ている。


目に見えない流れを読み取っていた。


「複数。継続的に開かれている」


その言葉と同時に、空が裂けた。


音ではない。


“現象”としての破断。


向こう側から現れたのは、武装した存在。


統一された気配。


迷いのない動き。


北欧の戦士たちだった。


「来るぞ!」


ポセイドンが叫ぶ。


次の瞬間、衝突が起きた。


水が巻き上がる。

雷が走る。

風が裂ける。


だが、異常があった。


「……軽い」


ゼウスが眉をひそめる。


倒したはずの相手が、消えない。


正確には、消えたあとに“残る”。


「見えているか?」


アテナが問う。


「見えている」


ゼウスの視線の先で、

倒れた戦士から“何か”が流れていた。


それは霧のようで、

だが質量を持っているようにも見える。


そして。


それは、裂け目の向こうへと吸い込まれていく。


「……回収している」


アテナが静かに言う。


「戦力を、増やしている」


ポセイドンが舌打ちする。


「ふざけてやがるな」


「違う」


アテナは否定した。


「これは合理的です」


短く言い切る。


「消費した分を補填している」


ゼウスが視線を上げる。


「つまり」


「倒すほど、相手は強くなる」


沈黙が落ちた。


次の瞬間。


ゼウスは笑った。


「面白い」


雷が再び落ちる。


「ならば」


その声は、戦場に響いた。


「壊しきるまで叩くだけだ」


衝突が激しくなる。


だがその裏で、確実に進んでいた。


奪われている。


信仰が。


気づいた時には、遅い。


これはただの侵略ではない。


構造ごと削られている。


戦場の空気が、変わる。


「……対応が必要です」


アテナが言う。


「すぐに」


ゼウスは頷いた。


「会議を開く」


神話はまだ、理解していない。


自分たちが“狩られている側”であることを。

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