↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Archive:神話戦争 ―信仰を奪う神々―  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
321/321

第328話 新しい朝

翌朝。


資料室には柔らかな朝日が差し込んでいた。


久世恒一はいつものように鍵を開ける。


棚。


机。


資料。


昨日と何も変わらない。


窓を開けると、涼しい風が紙を静かに揺らした。


少し遅れて柿崎もやって来る。


「おはようございます。」


「おはようございます。」


いつも通りの挨拶。


それだけだった。


受付箱には、新しい記録が二通届いている。


『近所の子どもが、朝顔がきれいだと言っていた。』


『昨日より風が気持ちよかった。』


久世は思わず微笑んだ。


異変ではない。


恐怖でもない。


ただ、生きていた記録。


今日という日が始まった証。


資料室は世界の終わりを待つ場所ではなかった。


誰かの今日を静かに積み重ねる場所だった。


遠くでは学校の始業ベルが鳴る。


市場には店が並び。


森には鳥がさえずり。


神々は今日も、それぞれの空の下で世界を見守っている。


そしてArchiveは、もう何も語らなかった。


世界は誰か一人によって支えられるものではない。


神も、人も、名もなき誰かも。


それぞれが自分の場所で今日を生きる。


その積み重ねこそが、この世界だった。


夏の風が資料室を通り抜ける。


白い紙が一枚だけ静かにめくれた。


新しい記録を書くための、最初の一頁だった。


――終幕――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。