219/321
第224話「石は三十一個になった」
久世が橋の下に行ったのは昼休みだった。
六十二個あった石が、三十一個になっていた。半分以下。減っている。前回は増えた。今回は減った。なくなるのではなく、半分になる。何かのルールがある。
写真を撮りながら、久世は石の積み方を見た。残っている三十一個も、丁寧に積まれている。崩れていない。意図的に選んで取り除いたか、元から三十一個を基準にして増やしたり戻したりしているのか。
資料室に戻って、窓際の女性に話した。「積石の件、また変わってた。」彼女はすぐ「何個?」と聞いた。「三十一。六十二の半分。」
しばらく沈黙があった。「四十七、六十二、三十一。何かのカウントに見えるね。」
数列か信号か目印か。久世には分からなかった。だが、誰かが来ている。それだけは確かだと思った。
観測層:第4層 記録単位:境界形成観測
備考:積石の変動に規則性の可能性。形成主体による意図的操作と仮定。
記録主体:Archive 状態:稼働中




