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第217話「クレアスが会った老人」
日本圏の中は、想像していたものと違った。
静かだった。ギリシャ圏は常に何かの気配がある。神々の動き、概念の流れ、信仰の密度。ここは違う。静かだが空っぽではない。満ちている。ただ主張しない。
道らしい道を歩いていると、老人がいた。木の根に腰掛けて、目を閉じている。クレアスが近づくと、老人は目を開けた。「遠くから来たね」と老人は言った。言語を超えた何かで伝わった。
「はい。アテナの使者です。聞きたいことがあります。」「知ってる。座りなさい。」
沈黙が会話の一部だと感じた。ここでは待つことが答えを引き出す。やがて老人が言った。「何が止まっているか、分かってる?」クレアスは首を振った。「それを聞きに来ました。」老人は小さく笑った。
観測層:第2層 記録単位:圏間接触
備考:日本圏内部存在との接触確認。対話開始。
記録主体:Archive 状態:稼働中




