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第214話「ケルヌンノスの問い」
狐はまだそこにいた。三日目だった。
ケルヌンノスが森の巡回から戻るたびに、同じ場所に座っている。食べない。眠らない。ただいる。今日、狐の前にしゃがんで目線を合わせた。「何を知っている」と聞いた。
狐の目だけが動いた。森の奥の方向。ケルヌンノスはその方向を見た。空気の密度が違う場所があった。直径三メートルほどの円形。木の根が避けるように生えている。触れてみた。指先の輪郭が曖昧になる。引いた。戻った。
振り返ると、狐は立ち上がって森の奥へ歩いていった。用が済んだように。ケルヌンノスはその場所に枝を折って地面に刺した。「ここだ」と、誰にともなく言った。
観測層:第3層 記録単位:境界薄化地点
備考:境界消失の前段階と判断される局所的薄化を確認。
記録主体:Archive 状態:稼働中




