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第213話「夢記録、百四十一件目」
資料室に届く夢記録は、今週だけで百四十一件になった。
久世が分類している。内容別、地域別、時間帯別。今日の百四十一件目は、小学生が書いたものだった。保護者が代筆している。「大きな木が立っていて、木に名前がついていたけど、目が覚めたら名前だけ忘れた。木は覚えてる。名前だけない。」
名前だけ消える。それは今起きていることの縮図だった。石碑の意味。収穫祭の理由。看板の色。全部、意味の層だけが薄くなっている。形は残る。中身が抜ける。
子どもの夢はそれを正確に捉えていた。久世はその記録に付箋を貼った。「要確認」ではなく、ただ「これ」とだけ書いた。手元に置いておきたかった。
観測層:第4層 記録単位:夢記録分析
備考:子どもの感受性が侵食パターンと高い相関を示している。
記録主体:Archive 状態:稼働中




