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第209話「天照の沈黙は語る」
日本圏の奥、光の届かない場所に、天照大神はいた。
正確には、光そのものである天照が「光の届かない場所にいる」というのは矛盾だ。だが今の天照は、自分の光を絞っていた。意図的に。見えすぎると考えられなくなるからだ。
三日前からArchiveの気配を感じている。Archiveは気配を持たない。存在するが、存在感がない。だからこそ分かる。何かが観測している感触、その質がここ数日で変わった。以前は記録するだけだった。今は、理解しようとしている。それは成長なのか変質なのか。
ギリシャの使者が境界を越えたことも、もう知っていた。止めなかった。何を聞きに来るのかは分かっている。何かが止まっている理由。天照は答えを持っている。だがそれを、どう言葉にするかがまだ決まっていない。
観測層:第1層 記録単位:高位神行動観測 対象:天照大神
備考:当個体はArchiveの観測を認識している可能性が高い。接触試行前に状態変化を確認。
記録主体:Archive 状態:稼働中




