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第144話 第二の赤線
ギリシャ世界。
資料室。
夜。
灯り。
紙束。
保存班。
記録班。
以前より増えた。
静かな忙しさ。
アテナが報告を見る。
『地名保持困難』
『輪 十七』
『名称消失継続』
沈黙。
若い神兵が新しい紙を運ぶ。
最近。
赤線の引かれた報告が増えた。
その時。
別の報告。
現実世界。
古地図。
地名保持困難。
アテナの手が止まる。
初めてだった。
神話圏だけではない。
現実側にも。
同じ兆候。
赤線。
二本目。
神兵が静かに書く。
『地名消失予兆』
窓。
黒い揺れ。
今日は二分近い。
誰も驚かない。
だが。
誰も慣れていない。
外。
誰かが夢を記録し。
誰かが海を見張り。
誰かが失われた名を探している。
世界はまだ残っている。
だから。
記録する。
忘れる前に。
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