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第143話 残された写本

ケルト世界。


森外縁。


夕方。


霧。


保存庫。


古い写本。


机。


灯り。


神兵達が集まる。


消えた名。


探すため。


何百年も前の記録。


開く。


そこには。


確かに存在していた。


神名。


土地名。


古い祭祀。


だが。


読んだ瞬間。


忘れる。


若い神兵が顔を上げる。


「今」


「読めましたよね」


誰も答えられない。


老神兵が静かに頷く。


「読めた」


「だが残らん」


沈黙。


森奥。


狼。


十匹。


境界近く。


だが。


越えない。


待っている。


風。


霧。


老神兵が写本へ手を置く。


「だから残す」


忘れる。


それでも。


残す。


それが今の戦いだった。


(次話へ)


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