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第135話 失われた名
ケルト世界。
森外縁。
夕方。
霧。
境界石。
古い記録。
若い神兵が写しを持ってくる。
欠けた文字。
確認するため。
老神兵が照合する。
沈黙。
長い時間。
そして。
小さく言う。
「違う」
若い神兵が顔を上げる。
写し。
現在。
一致しない。
昔あった名。
一つ。
消えている。
誰も覚えていない。
記録だけが残る。
風。
森奥。
黒い狼。
八匹。
近い。
だが。
越えない。
待っている。
神兵達が静かに祈る。
土地名。
神名。
森名。
そして。
消えた名。
読めない。
思い出せない。
老神兵が呟く。
「初めてだな」
沈黙。
森は静かだった。
だが。
何かが失われていた。
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