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第121話 静かな列
現実世界。
朝。
神社坂。
曇り空。
少し湿った風。
以前より。
人が増えていた。
会社員。
学生。
老人。
皆。
静か。
話さない。
ただ。
坂を登る。
最近。
理由を言わない者が多い。
眠れない。
夢を見る。
少し怖い。
少し疲れる。
だが。
ここへ来る。
落ち着く。
そんな感覚。
老人が箒を動かす。
今日も。
変わらない。
その時。
坂脇。
木陰。
黒い揺れ。
少し近い。
以前より。
だが。
出てこない。
会社員が小さく言う。
「佐藤 恒一」
「営業」
「東京」
近くの学生も小さく呟く。
「山本 春香」
「高校二年」
風。
葉。
少し揺れる。
黒い揺れが薄くなる。
老人が小さく言う。
「覚えとるな」
誰も答えない。
鈴。
鳥。
朝。
世界は静かに動いていた。
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