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第111話 名前を呼ぶ森

ケルト世界。


森外縁。


夕方。


風。


境界石。


若い神兵達が集まる。


最近。


新しい決まりができた。


一人では行かない。


必ず。


名前を読む。


土地名。


森名。


神名。


忘れないため。


老神兵が静かに言う。


「忘れた場所から崩れる」


誰も笑わない。


その時。


森奥。


黒い狼。


今日は二匹。


以前より少し近い。


だが。


越えない。


神兵達が小さく祈る。


土地名。


古い神名。


森名。


風が揺れる。


狼が止まる。


少し首を傾ける。


観察。


確認。


試すような沈黙。


若い神兵が石を見る。


文字。


少し。


また薄い。


急ではない。


だが。


進んでいる。


老神兵が静かに言う。


「だから呼ぶ」


「毎日」


夕暮れ。


森は静かだった。


鳥。


風。


遠く。


何かが見ていた。


(次話へ)


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