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第103話 境界の森

ケルト世界。


森外縁。


昼。


湿った土。


木漏れ日。


最近、森は少しずつ変わっていた。


急ではない。


だが。


確実。


神兵達が境界石を確認している。


古い神名。


土地名。


苔。


全部が残っている。


その時。


木々の間。


黒い狼。


沈黙。


少し離れた位置。


以前より近い。


だが。


越えてこない。


神兵の若者が息を止める。


ケルヌンノスが静かに森を見る。


「急がない」


狼は止まる。


首を傾ける。


輪郭が少し揺れる。


風。


木が鳴る。


神兵が小さく言う。


「最近、長くいる」


ケルヌンノスが頷く。


「見ている」


「境界を」


神兵が境界石へ触れる。


小さな祈り。


土地名。


名前。


狼が少し後ろへ下がる。


だが。


消えない。


ただ。


そこにいる。


森は静かだった。


鳥の声。


風。


世界は今日も少しだけ動いていた。


(次話へ)


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