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第102話 沿岸塔の朝

北欧世界。


沿岸見張り塔。


朝。


風が強い。


遠く。


黒海。


静かだった。


若い神兵が記録板を確認する。


『侵食反応 小』


『接近なし』


横で先輩神兵が海を見ている。


「最近、静かですね」


若い神兵が言う。


先輩は少し考える。


「静かってのは、安心とは違う」


短い返答。


その時。


高空。


黒い鳥。


ゆっくり旋回している。


以前より高い。


以前より遠い。


だが。


消えない。


若い神兵が目を細める。


「また見てる」


先輩が頷く。


「測ってる」


海面が少し揺れる。


輪。


広がる。


だが。


何も出てこない。


若い神兵が静かに書く。


『鳥型確認』


『海面反応 小』


『接近なし』


その間も。


塔の下では補給隊が動いていた。


漁師が網を干している。


生活は止まっていない。


遠くで子供が笑う。


先輩神兵が小さく言う。


「だから見張る」


風。


黒海。


静かな朝。


塔は今日も立っていた。


(次話へ)


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