不定期配信
呆気に取られたまま配信は終わった。
どうやらこれはアルディア国民へ向けての一斉配信のようだ。聖母の私がしていたような、日常的で他愛のない内容。
いなくなった聖母の代わりに、国王のダグラスが?
てっきり二代目の聖母が据えられたのだと早とちりして、そうではなかったと知ってホッとしている自分がいる。
自ら捨てて、戻るつもりもないのに。なんて身勝手で欲深いのか。
ダグラスの撒いた種の芽はいつ出るだろう。
それが気にかかって仕方ない日々が続き、十日後にようやく受信鏡が再びピカピカと光った。
お風呂場にも受信鏡を持ち込むようになっていた私は、浴槽の中で慌ててそれを開いた。
受信するだけの側は相手側に姿を見られることがないので、こういうときに便利なのだと分かった。
二度目の配信は前回の宣言どおり、畑に芽が出たという報告だった。五分ほどの短い配信に釘付けになった。
それ以降もダグラスの配信は大体十日に一度あった。きちっとした日も時間も決まっていない。配信時間もすごく短かったり、少し長かったりとバラバラだ。
毎日必ず配信していた私と違い、ダグラスは本業があるので忙しく、その合間を縫って国民へサービスをしているのだ。
しかし不定期のそれを心待ちにしている身としては、いつ不意打ちで受信鏡が光るとも知れず、ソワソワしてしまう。
先日はロズペタでバイト中に配信があったらしく、後でそれに気づいて悔しい思いをした。
「アイリーナちゃん、最近ぼんやりしてることが多いけど、悩みでもあるのかい?」
アデルさんに心配されてしまった。
「私もそれ思ってた。仕事中急にソワソワして変なミスしたり。大丈夫?」
ハンナの言葉にギクリとした。
配信が気になって、エプロンのポケットに受信鏡を入れているのが良くなかった。光っても結局見ることはできない。焦ってミスを誘発するだけだった。
「本当にごめんなさい。気をつけます」




