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第二の聖母

 もう何も映すことのない無価値なもの、そう思いこんでいた受信鏡が、ある日突然光った。

 受信を知らせるピカピカだ。


「だっ、誰?」


 家でお風呂上がりに、素っぴんでスキンケアをしていた私はびびった。

 この鏡はアルディアの聖母からの配信しか受け取らない仕様だ。


 ということは……もしかして、アルディアには第二の聖母が据えられたのかもしれない。

 無期限休養を宣言して雲隠れしたきりの聖母アイリーナへの不満が高まり、それを鎮めるために救済措置を取ったのだろうか。国民へのサービス精神旺盛なダグラスのやりそうなことだ。


 私のことを狂おしいほど愛している、恋しくて死にそうだと毎日通信鏡越しに伝えてくるわりには、楽園に隔離した私に会いに来ることは決してなかったダグラスは、意外と冷静でちゃんとしている。それは一国の王として大事な資質だ。


 目を背けたかったが、ダグラスが選んだ第二の聖母をしっかりと見届けなくてはいけないと己を奮い立たせた。

 ピカピカと光り続けるコンパクトミラーを開き、受信のスイッチをオンにした。


 どんな女性が映し出されるんだろう。私とよく似ているのか、それとも全く違ったタイプか。

 絶大な魅了を誇った聖母アイリーナの代わりが務まる人だ。もしかして、新たに悪魔級の魅了を持つ人材が見つかったのかもしれない。


 新聖母に私が魅了されてしまったらどうしよう?

 期待と不安が入り交じったような、祈るような気持ちで受信鏡を覗き込んだ私の瞳に映ったのは――……


 ダグラスだった。


「え?」


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