女友達
「あ〜っ疲れた」
アパートに戻り、秘蔵の蜂蜜酒をお湯割りしたものを口にした。
エトさんとのデートは、息抜きどころか気疲れした。私が質問してはエトさんが答え、質問しては答えての繰り返し。聞くことがなくなり、料理の感想しか言うことがなくなった。
お料理は美味しいものと口に合わないものがあったが、どれも珍しくてワクワクした。ただ興奮気味にいくら感想を述べても、エトさんの反応は味気なかった。
帰りもエスコートなしは当然として、歩調も早くて歩き疲れた。
五つも年下の大学生に多くを求めてはいけないとは分かる。
『あ、支払いは任せて。婆ちゃんからお金渡されたから』
奢ってもくれたし。
だけどまたエトさんと二人で食事に行きたいかと問われたら、NOだ。
「気疲れして奢られるより、楽しんで食べて笑って、気兼ねなくワリカンのほうがいいわよね~」
そして一人でウジウジと家飲みするんじゃなくて、こういう話ができて、愚痴言い合って笑い飛ばして、活力にできるような……友達がいたらな。
思えば、友達のいない人生だった。
取り巻きは大勢いたが、誰からも心酔されて対等な関係は築けなかった。一緒にいるほど魅了に毒されるのだから、友達だと思っていたら監禁されそうになったり、自分より華奢な女の子に押し倒されもした。
私の持って生まれた魅了は、性別関係なく効果があった。相手が同性だからといって安心はできなかった。
しかしそれももう過去のこと。
「そうだわ、友達よ。今なら友達だってできるわよね」
デートする男なんていらない。一緒に家飲みしたり、ぶらぶらとショッピングしたり、公園でお弁当を広げたり、推しを見つけて語り合ったりするような、女友達がほしい。
「いいっ、なんっっていいのかしらぁ」
酔いが回ってきたのも手伝って、素晴らしい思いつきに昂った。女ともだち、待っていてね、私のお友だちちゃん。
自ら魅了を手放しておいて、失ったものを惜しむなんて絶対にするもんか。魅了を失ったからこそ得られるものがあって、それが新たな喜びで幸せなんだと証明してみせる。




