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テスト

 テストのためにエクリシア帝国からやって来た若者は、予想どおり全員が美しかった。

 エクリシアでは代々『美しくあること』が重視され、美男美女の血が受け継がれてきたのだ。


 アルディアの別荘地に宿泊し、その感想レポートを提出するという名目で寄せ集められたメンバーだ。

 私はその別荘の管理人の一員として共に滞在し、彼らと交流をする。


「なあ、あの黒髪蒼眼の……ジョハンだっけか、君にやけに話しかけてくるが」


 身分を偽り、同じく管理人の一人として滞在しているダグラスが、私と彼らの交流を監視している。


「魅了にかかってるんじゃないか? 君と話すときテンションが高いぞ」


「ジョハンは常にハイテンションよ」


「そうか? 私には全く話しかけてこないが」


「そんなに仏頂面してたらね。それにジョハンはケイトのことが気になってるわよ」


 宿泊者は男性だけではない。エクリシア人の美女たちもいる。

 私と男性陣の些細なやり取りに目くじらを立てているのはダグラスだけで、美男美女たちが私をそういう対象に見ていないことは感じ取れた。


 しかし私の持って生まれた魅了に即効性はなく、時間が経つと一気に効いてくることは私もダグラスも熟知している。

 だからこそ数日間生活を共にし、いざという危険に備えてダグラスが見張っているのだ。宿泊者には知らせていないが、ヨゼフィンとアンフィーサも身を隠してこの別荘を警護している。


 ダグラスは最終日まで警戒していたが、私に特別な好意を持って接触してくる者はいなかった。

 うっとりとした熱っぽい目で見つめられることもなく、唐突な自分語りを聞かされたり、もっと知りたいもっと知ってほしいと求められることもなかった。好きだと告白されることもなかった。


「まだ分からんぞ。油断するな。一旦この場では大人しく退散しておいて、後日ストーカーに豹変するやつなど山ほどいただろう。大勢の前では勝負に出ず、一対一に持ち込めば何とかなる、などと思うたわけが。何らかの接触を試みてくるはずだ」


 別荘地の観光を満喫して帰っていく参加者たちを見送り、ダグラスが目つきを鋭くした。


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