表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/73

愛で狂う

「無理だ。アイリーナのそばにいて、おかしくならない男はいない。一緒にいるだけでいい、他に何も望まない。そんな殊勝な気持ちでいられるのも最初だけだ。君だってすぐにそうなる。アイリーナの全てが欲しくなって、それが叶わずにいっそ壊したくなるのさ。何もかも放り出してここへ来ている時点で、君はすでに狂っている」


 怒りを孕んだダグラスの言葉にエリオスはじっと耳を傾けたあと、


「陛下のように?」


 と尋ねた。


「ああ、私はすでに狂っている。その自覚があるからこそ、アイリーナと離れ、手を伸ばしても届かない環境で自制している。自覚のない者は怖い。自分だけは例外で大丈夫、なぜそう思える。思い上がりも甚だしいな」


「それでも私は陛下とは違います。誓います、決してアイリーナを害さないと。アイリーナの望まないことはしない。血の誓約を交わしましょう。もし私が誓いを破り、アイリーナに何かしようとした場合は、殺してくださって構いません。その優秀な護衛の使い魔に、そう命じてください」


「命をも懸けると?」


 厳しい顔で言って、息を吐くようにふはっとダグラスは笑った。


「君が死ぬ未来が見えるよ」


「いえ、アイリーナと共に生き続けます」


「そこまで言うなら見せてもらおうか。君がどこまで『持つ』のか。共に暮らし、あらゆるものを共有してなお、決して君のものにはならない女を永遠に愛せるのかを。私は日々通信鏡で、君たちの営みを見せてもらおう」


 憎悪に満ちた瞳に、愉悦が浮かんだ。

 ああ、ダグラスの悪い癖だ。私に近づく者を嫌悪して気が狂いそうなほど嫉妬すると言うくせに、どこかでそれを愉しんでいる。苦しみ、自身を痛めつけることで、愛を確認しようとしている。


「ということは、ここで暮らすご許可をいただけるんですね?」


 エリオスは落ち着き払った様子で確認した。


「本当に良いんですね?」


 即答しないダグラスから視線を移したエリオスは私を見た。


「アイリーナもそれで良いか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ