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再会

 目を覚ますと、ダグラスの顔があった。目が合った途端、細められていたラベンダー色の瞳がぱっと花開いた。懐かしい甘い香りがする。


 夢、だろうか。


「アイリーナ。良かった、目が覚めて」


 ダグラスがほっとした表情で言った。視線を左右に動かすと、エリオスとブルーナ、ヨゼフィンもいた。


 ダグラスの話によると、ブルーナごと倒れて頭を打った私は気を失っていたらしい。


「アンフィーサが医者を呼びに行っている。来たらすぐに診てもらおう」


「そう……どこも痛くないけど……お医者さまはここに来てもらって大丈夫なの? 別の場所で診てもらったほうが良いんじゃ……」


 頭に痛みはないが、混乱はしている。生身のダグラスが目の前にいて、直接会話をしているのだ。それにエリオスまでいる。


 再びエリオスを見た。やっぱり普通だ。髪が伸びて筋肉隆々で身体が一回り大きかったエリオスではなく、スマート美男子な私の知っているエリオスだ。


「エリオス、どうしてここに? あの姿は何だったの? 見間違い?」


 エリオスが答えるより早く、ダグラスが口を開いた。


「ああもうっ、まったく。医者にここの場所を知られる心配以前に、この王子が押しかけて来たことが大問題だよ。どうやってここの場所を知った? アイリーナ、君が話したのか?」


「違う、アイリーナに非はない」


 エリオスが立ち上がり、左手を掲げて見せた。その手首には見覚えのある不格好な毛糸のブレスレットが嵌っていた。


「魔術を使いました。アイリーナが見た私の姿も、黒魔術で防御力を高めた姿です。こちらの護衛の使い魔に攻撃されたので」


 ダグラスが目を剥いた。


「それはそうでしょう! 招待も許可も受けずに押しかけて来るような者は、問答無用で排除せよと常々言い聞かせていますからね。エリオス王子、これは犯罪ですよ!?」


 両手を広げエリオスに迫るダグラスの所作は、相変わらず演技がかって大袈裟に見える。


 エリオスは相変わらずの無表情で、


「招待なら受けました。一度楽園に遊びに来れば良いと、アイリーナに言われていましたので」


 と答えたので、私がぎょっとした。そんなこと言っ……たような気もする。この楽園での生活がいかに安全で快適か、実際に来て見れば分かると。


「確かに。でもまさか、本当に来るなんて。正直思っても見なかったわ。ダグラスもどうしてここにいるの?」


「どうしてって、心配で駆けつけたに決まってるだろう。ヨゼフィンたちが戦闘体勢に入ると、ミコラーシュが察知するからね。ミコラーシュから報告を受けて飛んで来た。だから医者を連れてくる必要があったと気付いたのは、ここへ着いてからだ。一緒に連れて来れば良かったな。いや、アイリーナの言う通り、ここではなく別の場所で診てもらうか」


 ダグラスが急にテキパキと動き出した。


「ヨゼフィン、アンフィーサと医者が楽園入りする前につかまえて、手紙を渡してくれ。落ち合う場所を指定する。エリオス王子、あなたは直ちに国へ帰ってください。二度と来ないでください」


「待ってダグラス、ここへ来た理由くらい聞きましょう。エリオス、大事な話があって来たんでしょう? 話があるって言ってたわよね」


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