温かな黒
ガッシャーン!
甲高い激しい音に、倖も想宇流も一瞬にして意識が奪われた。
次いで、ぶちぶちとカーテンが引きちぎられる破壊音を耳にして、倖は後頭部をズラすようにして窓を見る。
上座付近の窓が一角、外からの圧力で粉々に破壊され、床に散らばったガラスの上に、真っ黒な人影があった。
——と、思った次の瞬間、体を押さえていた重みが消える。
バキィ!!
痛々しい殴打音を耳にして顔を上げると、覆い被さっていた想宇流の姿がなくなっていた。
代わりに全身黒に身を包んだ後ろ姿——フジだった。
「ふ、フジさおわっぷ!」
近寄ろうと起き上がるが、上から降ってきた何かに視界が奪われる。
わたわたしながら払い除けると、それは黒いマント。
「い゛、い゛っでぇ゛……」
嗚咽交じりの声が聞こえたので視線を向けると、扉にめりこりこむ想宇流が姿。
(え、は……な、何が起きた……?)
はてなマークを飛ばしている倖を尻目に、フジは無言のまま想宇流の元に歩み寄る。
腹を押さえて痛みに顔を歪めている想宇流の胸倉を掴み持ち上げたかと思うと、問答無用で拳を叩き付けた。
続けて、二発、三発、四発……何度も何度も想宇流の顔に拳がめり込む。
「ごっ、やめ゛っ、おぶっ、やめ、っ、ぐれっ」
宙ぶらりん状態のまま泣き叫び、暴れ、ばたつかせている足がフジの体に何度か当たると、フジは忌々しそうに舌打ち一つして胸倉を掴んでいた手を離した。
重力のまま床に落ちた想宇流は痛みを堪えるように蹲ったが、今度はフジの長い脚と軍靴による容赦ない蹴りが炸裂する。
「ひい゛ぃ! いでぇ゛っ! だの゛っ! や゛め、やめであがっ! や゛め゛でぐだざいぃぃぃ!!」
突然の暴力に固まっていた倖は、切羽詰まって泣き喚く声に我に返る。
「ちょ、ふ、フジさん落ち着いて!! このままじゃ羽間兄
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