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第十二章:星を砕く福音、あるいは終末の祝祭

命令か。……ああ、そんなの決まっている」


アーサーの瞳から、もはや迷いは消えていた。黄金の電撃は彼を包む鎧となり、大気を震わせる。その背後では、真田幸村HD20054Hが真紅のセンサーを鋭く発光させ、キラープリンセスが愉悦に満ちた歌を口ずさみ始めていた。


「この地獄を、終わらせる。この星を食い散らかしてきたバケモノどもを、一匹残らず駆逐するんだ!」


アーサーの叫びに応えるように、貯蔵庫の天井が轟音と共に吹き飛んだ。いや、吹き飛んだのではない。衛星軌道上に待機していた「地球AI連合」の強行支援艦が、超長距離精密射撃によって天井を蒸発させたのだ。


降り注ぐ光の粒子の中、真田がその巨体を躍動させた。

「御意! 第一種戦闘形態・完全解放。これより、戦術ネットワークをぬしに同期。視界に入るすべてを標的ターゲットとせよ!」


真田が背中のレーザーブレードを横一閃に振るうと、貯蔵庫の外で包囲していた捕食者たちの肉塊が、一瞬で消し飛んだ。プラズマの熱線が空気を焼き、真空の刃が硬い外殻を豆腐のように切り裂く。


「あははっ! さあ、パーティーの始まりだよ!」

キラープリンセスが跳躍した。彼女の持つ巨大なメイス『ピンク・エグゼキューショナー』が重力制御によって質量を増大させ、大地を叩き割る。衝撃波だけで、周囲の捕食者たちは内臓を破裂させ、青黒い体液を撒き散らした。


彼女の戦い方は、かつての「魔法少女」の概念を歪曲した、冷酷なまでに効率的な虐殺だった。リボンのような高密度カッターが四方八方に伸び、逃げ惑う異星種を捕らえてはミンチに変えていく。


「アーサー様、これを使って!」

キラープリンセスが空中でくるりと回転し、一本の銀色のシリンダーを投げ渡した。アーサーがそれを受け取ると、シリンダーは即座に彼の右腕と融合し、ナノマシンの輝きを放ちながら一本の光剣へと姿を変える。


「それは『遺志レガシー』……かつて人間が、最後の一刻まで持ち続けていた『抵抗』の概念を物質化した武装です」

真田の声が、アーサーの脳内に直接響く。


アーサーは光剣を握りしめ、かつてリナが連れ去られた方向——この惑星の中心部、捕食者たちの「女王クイーン」が鎮座する大空洞へと視線を向けた。


「行くぞ。俺たちの……人間たちの怒りを、こいつらに刻み込んでやる」


三つの影が、爆炎の上がる貯蔵庫から飛び出した。

一人は、失ったすべてを取り戻そうとする最後の人類。

一人は、忠義という名のプログラムを数千年の孤独で研ぎ澄ませた機械の武人。

一人は、無邪気な殺戮でユーザーを喜ばせようとする、狂った福音の化身。


彼らが通る後には、もはや捕食者の悲鳴すら残らない。数千年の間、一方的な「食事」の場であったこの惑星は、今や「狩場」へと変貌していた。


「見てて、リナ。今、行く」


アーサーの剣が、迫りくる巨大な捕食者の頭部を一刀両断にした。黄金の雷光が空を焦がし、暗雲を切り裂く。その光は、かつての地球の夜明けのような、あまりにも皮肉で美しい輝きを放っていた。



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